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「ゾゾグラス」はコスメ選びの新たなスタンダードになるか ZOZOの伊藤正裕氏に聞くその戦略とは

Feb 2, 2021.高村 学Tokyo, JP
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「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOは1月29日、国内外の500以上の厳選ブランドがラインアップされたコスメ専門モール「ゾゾコスメ(ZOZOCOSME)」を3月18日にオープンすると発表した。これまでZOZOはアパレルに特化したEコマースを展開してきたが、ついに化粧品のEコマースに本格参入する。さらに、「ゾゾスーツ(ZOZOSUIT)」「ゾゾマット(ZOZOMAT)」に続く3つ目の計測ツール「ゾゾグラス(ZOZOGLASS)」を開発し、送料を含めて無料で手に入る予約受付を開始した。「ゾゾグラス」は自宅にいながら、スマホひとつで簡単に自分の肌の色を計測できるツールで、アプリ上に自分の肌の色が表示され、最適なファンデーションが瞬時に分かる仕組みだ。リップやチークなど対応範囲を拡大していく予定で、「ゾゾグラス」を使ってコスメを選ぶという、これからのコスメ選びの新しいスタンダードになっていく可能性を秘めている。ZOZOの取締役兼COOで開発責任者の伊藤正裕氏は、「新しいイノベーションとともに、世界ナンバーワンのコスメ専門モールを作る」と語る。「ゾゾグラス」はコスメ業界の新たなイノベーションとなるか、伊藤正裕氏に話を聞いた。

SEVENTIE TWO(以下SVT):化粧品のEコマースへの本格参入は、非常に大きなインパクトがありますね。
伊藤正裕取締役兼COO(以下伊藤):コスメ専門モールとしては、我々は後発ですし、ZOZOにしかできないことが必要だと思っています。簡単にいうと差別化です。新しいイノベーションとともに、日本ナンバーワンないしは世界ナンバーワンのコスメ専門モールにしたいと思っています。

SVT:これまでも「ゾゾタウン」で化粧品の取り扱いはありました。
伊藤:確かに取り扱いはありましたが、「選択と集中」で、今まではアパレルに集中していました。前澤友作さんが社長を退任されて、新体制になってからの戦略が「商材拡張」です。その一環として、コスメ領域に本格参入し、コスメ専門モールをオープンすることにしました。とはいえ、適当にやるわけにはいきません。我々がやるのであれば、ZOZOに対するお客さまの期待値を超えるベストなものでなければいけない。では、どうするか。豊富なラインアップと新しいイノベーション、トラフィック、この3つを組み合わせてナンバーワンを取ろうということになりました。ラインアップを充実させるには時間がかかりますし、イノベーションを生み出すのも時間がかかります。前澤さんが退任されたのはだいぶ前に感じますが、それからずっと「ゾゾコスメ」と「ゾゾグラス」を作ってきて今日に至ったわけですね。

SVT:「ゾゾグラス」の特徴はどういったところでしょうか。
伊藤:肌の色を診断する機器はこれまでにもありましたが、数十万から数百万円と高価なものばかりで、消費者に届けることは非常に難しいものでした。ZOZOの計測ツールは全てスマホひとつでできることが特徴で、「ゾゾグラス」は自宅で簡単に肌の色を計測でき、しかも無料でできます。さらに、計測精度が非常に高いことも特徴です。観測地点がひとつしかないものは相対性しかなく、絶対性がありません。「ゾゾグラス」はメガネ前面にあるカラーチップが非常に高い精度で施されており、、レファレスンスになるものですから、絶対性があります。「ゾゾグラス」では、肌の色はもちろん、髪の色、歯の色など、カメラで見えている色は全て正確に測れます。「ゾゾグラス」はメガネの形をしていますが、メガネとして製造していません。メガネのサプライチェーンも一切使っていません。レファレンスとしてこのメガネを100万本作ったとして、全面に施されている色も全部同じ色でなくてはいけない。そのために、超高精度な技術で、メガネ前面にカラーチップを施しています。

SVT:まさにイノベーションですね。
伊藤:仰る通りです。そして、「ゾゾグラス」は一見高そうに見えますが、原価率が非常に低いです。「ゾゾグラス」は、非常に安い原価で作れたこともイノベーションです。ですから、ZOZOにとって実は大型投資ではない。

SVT:コスメ業界にもイノベーションをもたらしますね。
伊藤:「ゾゾグラス」を通して、色々な提案をしていきたいですね。計測時の照明環境による誤差を取り除くような色補正ができるARメイクを展開することも考えています。そうすると、ほぼ現実に近いバーチャルメイクを楽しむことができます。計測者数が増えていけば、顔の形、肌の色、髪の色が似た人たちはこういうメイクをしているという参考情報が出せるなど、利用者との関係性が向上する活用の仕方もあります。

SVT:コスメ選びの新しいスタンダードになる可能性もありますね。
伊藤:市場調査をすると、ファンデーション選びに一番悩んでいることがわかりました。ファンデーションを買う時だけは店に行って購入する方が多いのですが、店に行ってもどの色を選んでいいかわからない。ファンデーションの色選びが一番難しいのであれば、そこをまず解決したいということで肌の色の計測から始めました。リップやチークなどへの展開はそれからでいいだろうと。「ゾゾタウン」を利用したことがない方にも、「ゾゾグラス」を使って頂くことで悩みの解決に繋がるのではないかと考えています。

SVT:「ゾゾグラス」はどれくらいの配布数を想定していますか。
伊藤:想定配布数は特に設定していません。これまでも計測ツールに想定配布数は設定していません。どうなるかわからないというのが本音です。興味がないと言われるかもしれませんし、ヒットするかもしれません、それはなんとも言えません。少なくとも「ゾゾタウン」には女性アクティブユーザーが年間533万人いますが、その方たちは「ゾゾタウン」ではないどこかで必ず化粧品を購入されています。そのうちの何割が使ってくれるかですが、「ゾゾグラス」を配布することで「ゾゾコスメ」での購入に繋がることを期待しています。

SVT:4つ目、5つ目の計測ツールについては考えていますか。
伊藤:アイデアはたくさんあります(笑)。常に考えていますしね。計測ツールは、百万人クラスの方々が使うことを想定して、なるべくわかりやすく、テクノロジーが日常に溶け込むようにすっと使えるものでないといけない、ということを教訓にしています。「ゾゾスーツ」や「ゾゾマット」は究極的に使いやすいツールです。そして、お客さまの悩みをちゃんと解決できるツールであれば商品化できると考えています。

SVT:「ゾゾグラス」は試行錯誤のプロセスを経て生まれたわけですか。
伊藤:いえ、瞬発の思いつきでした(笑)。実は「ゾゾグラス」はものの一時間で思いつきましたので。経営会議で次はコスメ専門モールをやるとなり、現場からコスメを売るテクノロジーが欲しいと言われました。そんなある日、「コスメか」と思いながら散歩に出たら、その散歩中に「ゾゾグラス」のアイデアを思いつきました。散歩から戻るとすぐにメガネのモックアップを作ってもらって、「ゾゾグラス」のアイデアが完成しました。散歩に出る前に、イスラエルの研究者の論文を読んでいたのですが、海中にカラーピッカーを置いて写真を撮り、光の屈折の仕方など特殊なアルゴリズムを走らせると海の水を全部消せるわけです。海から水を取り除いたような海底になっていて、まるで海に見えない。なるほどなと思いました。ツールの形も、実は最初はメガネ型ではなく、ヘッドバンドかなと思いましたが、みんなが絶対にわかって顔につけるものといえばメガネしかないだろうと。メガネにカラーチャートを貼れば本物の色がわかりますし、先程の論文ではありませんが、空間色を消す方法はいくらでもあります。ロジカルでシンプルですよね。「ゾゾグラス」のアイデアはこうして瞬発的にできあがりました。

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