ホームセンター業界最大手のカインズ(1978年創業。2021年2月末時点での従業員数は1万3079人。国内227店舗展開)がDIY業界の雄である東急ハンズを買収すると12月22日に発表があった。2022年3月31日付で東急ハンズの発行済みの全株式を取得し完全子会社化する。ホームセンター業界は、DCMホールディングスとの買収合戦にセリ勝ったインテリア・家具業界トップのニトリホールディングスが島忠買収(上場廃止日今年3月24日)で俄然競争激化している。ホームセンター業界の売上高ランキングのベスト4は:
1位カインズ 4854億円(2021年2月期)
2位DCMホールディングス 4711億円(2021年2月期)
3位コーナン商事 4420億円(2021年2月期)
4位コメリ 3857億円(2021年3月期)
ちなみに業界トップのカインズは非上場なので第2位のDCMホールディングスの2021年2月期を見てみると:
・売上高:4711億9200万円(+7.7%)
・営業利益:302億5400万円(+45.2%)
・経常利益:295億5000万円(+47.0%)
・親会社株主に帰属する当期純利益:185億9400万円(+34.9%)
売上高営業利益率は、6.4%とアパレル業界と比較すれば高率だが、まずまずという水準である。
業界第3位のコーナン商事の2021年2月期決算は:
・売上高:4420億7000万円(+18.0%)
・営業利益:309億1900万円(+54.1%)
・経常利益:297億7400万円(+57.4%)
・親会社に帰属する当期純利益:186億4900万円(+57.6%)
売上高営業利益率は6.9%だ。
業界第4位のコメリの2021年3月期については:
・売上高:3857億円(+10.7%)
・営業利益:303億2600万円(+64.2%)
・経常利益:303億6900万円(+63.1%)
・親会社株主に帰属する当期純利益:204億200万円(+70.9%)
こちらも営業利益率は6.7%と6%台。さらに注目されるのはコロナ禍による巣ごもり消費の恩恵を受けて、ホームセンター業界大手各社は売り上げ、利益共に大きく伸ばしている点。
未上場の業界第1位のカインズも、おそらく営業利益率は6〜8%程度の水準で上場4社による激しいツバぜり合いが演じられている状況だろう。そこで最大手のカインズが機先を制して、都市型DIY業態の東急ハンズの買収に動いたというのが今回の東急ハンズの買収の真相だろう。
東急ハンズは1976年創業で、2021年4月時点の従業員数は2469人で国内外に86店舗を展開中だ。ライフスタイルプロデューサーの浜野安宏氏がプロデュースして始めたDIY店。この業態に続いて西武グループがロフトを始めたというのは有名な話。東急ハンズのロゴは浜野氏が悟りを開いた釈迦の合掌をイメージして作ったものだ。都市型DIYとして快走を続けていたが、最近はネット通販の台頭などもあって業績は低迷し、今年10月には主力店舗だった池袋店が閉店されるなど厳しい経営を続けていた。地方・郊外店舗で手堅いビジネスを続けているカインズが都心型で趣味性・文化性の強い東急ハンズの買収でイメージアップを図ろうとする戦略はわからないでもない。
気になるのは、東急ハンズの新しい店舗名だ。東急グループから離脱するので当然「東急」は、はずれることになるが、カインズハンズになるという見方もあるが、語呂が悪過ぎる。「ザ・ハンズ」あるいはただの「ハンズ」に落ち着くことになるのではないだろうか。いずれにしても好調のホームセンター業界の上位4社のツバぜり合いと今後の東急ハンズに注目したい。