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コーセーと花王が化粧品事業における持続可能な社会の実現に向け協働 各企業の枠を超えた取り組みへ期待

Oct 14, 2021.セブツー編集部Tokyo, JP
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左:花王株式会社 代表取締役社⻑執⾏役員 ⻑⾕部佳宏、右:株式会社コーセー 代表取締役社長 小林 一俊

コーセーと花王は10月15日に、持続可能な社会の実現を目指し、化粧品事業のサステナビリティ領域において、包括的に協働していくことに合意したと発表した。今後両社は、人や社会、地球環境の様々な分野で、それぞれの強みを持ち寄り協働することで、化粧品事業における持続可能な社会の実現に寄与する解決策を見出していくとする。

昨今、気候変動や資源枯渇、海洋プラスチックごみなどの環境問題や、マイノリティの人権問題などの社会的課題がますます顕在化し、世界規模で持続可能な社会への転換が求められている。このような規模の大きい課題は、国家のみならず企業も一丸となって取り組む必要があり、個々の企業の取り組みだけでは限界があるテーマも多く存在する。その点において、今回コーセーと花王のタッグが実現したことには大きな意義がある。企業同士が協働で環境社会問題に取り組むことで、これまでの枠を超えてより効率的に、より早く、成果に繋げることができるようになるだろう。

現時点では、環境保護・循環型社会の実現に貢献する取り組みとして、包装容器への環境配慮素材の導入、資源循環やアップサイクル施策の共同推進、環境負荷の少ない原料調達を検討している。また、環境問題だけでなく、社会課題の解決もテーマとして取り上げ、化粧品メーカー、日用品メーカーとしてスキンケアやUVケア等の啓発活動の共同展開と連携、美容分野で多様な美を尊重した啓発活動の共同推進と連携にも取り組んでいくとしている。

これまで両社は、それぞれ環境問題や社会問題に関する様々な取り組みを推進してきた。コーセーは、スキンケアブランド「雪肌精」の「セイブ ザ ブルー(SAVE the BLUE)」を代表とする環境保全活動や、スキンケアによるアレルギー防止やUVケアの必要性の啓発などに取り組んできた。また、2020年4月には中長期ビジョン「VISION2026」に「バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進」を掲げている。更に、商品やサービスに込めるべき要素として「アダプタビリティ」を掲げ、様々なマイノリティへ配慮し、肌の色やジェンダー、宗教や信条、身体的特徴など、多様な背景を持つ人々が、自信を持って美しく生きる社会に貢献することに取り組んでいる。例えば、女性の人権問題が特に深刻な、 アフリカ・タンザニアの「さくら女子中学校」への支援活動などを行なっている。

花王は、2019年4月にESG戦略(環境、社会、ガバナンス戦略)「キレイライフスタイルプラン(Kirei Lifestyle Plan)」を策定し、環境や社会に配慮した取り組みを強化した。環境に優しい原材料の開発や調達から、商品の製造、運搬、使用、廃棄に至るまで環境負担を減らす研究を進め、工夫を凝らしている。また、2021年1月よりスタートした中期経営計画「K25」においては、「Sustainability as the only path(豊かな持続的社会への道を歩む)」をビジョンに掲げ、豊かな持続的社会への貢献と事業成長を両立さることを目指す。化粧品事業についても、2021年から、事業目的である「Celebration of Individuality」のもと、「人の数だけあるそれぞれの美」を尊重したブランド育成を行なうとしている。

環境問題に対する取り組みに関しては、環境対策の世界的評価機関である「CDP(Carbon Disclosure Project)」が毎年優良企業を選出している。2020年に、コーセーは、「気候変動」の分野で、初めて最高評価である「Aリスト企業」に選出された。花王は、同じく2020年に​​「気候変動」「森林」「水」全ての分野で「Aリスト企業」に選出され、日本企業初のトリプルA獲得を果たしている。トリプルAを獲得している企業は世界で10社のみで、他には化粧品メーカーのロレアル(L'Oréal)や電子機器メーカーのヒューレット・パッカード(HP Inc)が選出されている。

今後は、協働の範囲をより多方面に拡大し、競合の垣根を越えて、包括的に社会課題に取り組んでいくとしている。社会課題に積極的に取り組む両社のタッグ実現が、今後どのようなソリューションを展開していくのか、期待したい。

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