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給料遅配目前のセレクトA社の場合

Jun 26, 2020.鈴木稔夫Tokyo, JP
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表参道交差点。緊急事態宣言が解除されても買い物客は少なく(撮影:セブツー)

セレクトショップチェーンA社が支払い延期を申し入れて仕入れ先を回っているのが業界で話題になっている。まあ、同社の最近の決算書(申し訳程度に黒字を出しているがプロが見たら赤字は明白)を見たら、銀行は融資はしてくれないだろう。持っている不動産もすでに担保設定されているから融資はまず不可能。貯金の10億円はもう使い切ってしまった。頭を下げて支払い延期をお願いするしかないのだ。余裕のある仕入れ先なら応じてくれるのだろうが、このご時世で「余裕のある」企業というのがあるのかどうか。総合商社や大手繊維商社にバカ高い手数料を支払って付き合っていたら、こういう時になんとかしてくれたかもしれない(してくれたとしてもその代わりにとんでもない無理難題を飲まされるのが関の山)。オーナーのA社長が「商社嫌い」ときているから、それもままならない。まさに袋小路に陥っているのである。5月25日に緊急事態宣言が解除されて、「6月になったら事態は一気に改善される」という読みだったが、売り上げの戻りは思ったよりもスローペースである。6月が夏物の最終コーナーだったが、7月に入ったら何が何でも日銭稼ぎの大バーゲン突入になっていきそうである。

このセレクトショップチェーンは、販売重視で販売員がすべて正社員で1400人の社員を数える。月給30万円としても月間4億2000万円の人件費がいる。それとほぼ同額の家賃の支払いがあるが、これについてはその50%の支払い、残りは半年遅延という措置をとってもらっているので、これはあと半年はなんとかなるが、それまでに正常な状態位戻らなくてはならないが、それはいい。それよりも人件費をなんとかしなくてはならない。

月商が約40億円あり、粗利はほぼ月商の25%で10億円。このうち人件費が4億2000万円で家賃が4億5000万円、その他の経費が1億円で、経費は毎月9億7000万円。利益は3000万円というところだろうか。月別売上実績は4月はなんと前年の40%、5月は50%。6月は70%までなんとか持っていけそうな感じではあるが、まるで足りない。一体どうしたらいいのだろうか。仕入れ先への支払い遅延お願い行脚をしながら、A社長は「給料」遅延をどうやって社員に切り出すのか、頭を悩ますのであった。

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