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相次ぐ資生堂の事業売却 今後の鍵はEコマースとスキンケアか

Aug 26, 2021.西岡愛華Tokyo,JP
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資生堂は8月26日、「ベアミネラル(bareMinerals)」「ローラ メルシエ(Laura Mercier)」「バクサム(BUXOM)」の3ブランドの売却を発表した。2月3日には「ツバキ(TSUBAKI)」「専科(SENKA)」「ウーノ(UNO)」などを含むパーソナルケア事業の投資ファンドへの売却を発表しており、新型コロナウイルスの影響を受けての資生堂の事業整理が続いている。

5月には、DXの加速を目的とし、アクセンチュアとの合弁会社である資生堂インタラクティブビューティー(SHISEIDO INTERACTIVE BEAUTY)の設立を発表した。新会社は、資本金1億円のうちの過半を資生堂が出資し、両社のデジタルやIT領域などの専門家の約250名で構成される。資生堂は、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」の中で、「デジタルを活用した事業モデルへの転換・組織構築」を掲げており、新会社ではビューティ領域に特化したデジタル・ITの専門家集団として、資生堂だけでは達成できないスピードとイノベーションで、新しいビューティ体験の実現を目指している。

7月1日には、ブランドの育成強化やグローバル展開、DX推進などのイノベーションの加速を目的とし、パーソナルケア事業を引き継いだファイントゥデイ資生堂が始動している。同社には資生堂や投資ファンドのCVCキャピタルパートナーズが出資しており、資生堂の出資比率は35%を占めている。

8月5日には、中国現地の資生堂投資有限公司(以下、資生堂中国)と中国の投資会社での投資ファンド、資悦ファンドの設立を発表した。同ファンドでは資生堂が単独の資金出資者で、グローバルで展開する化粧品会社が単独の出資者を務めるファンドは中国本土で初めて。資悦ファンドは、現地の化粧品や健康に関する新興ブランドや、Eコマース市場のサービスや顧客体験を提供する技術・ノウハウを持つ企業へ投資を行い、今後は資生堂が2019年に既存事業のイノベーションと新規事業開発の推進拠点として上海に設置した中国事業創新投資室(China Business Innovation & Investment Office)を中心として、投資ターゲットの評価と選定を進めていく。

資生堂はグループ全体におけるDX推進を目標として掲げており、Eコマース、店頭・オンラインの融合、デジタル能力開発の3本の軸をコアに上記のような事業整理を行ってきた。その結果、2021年上半期(1〜6月)の決算資料によると、プレステージ領域(デパートや化粧品専門店などで販売している高価格帯製品)を中⼼にEコマースでの売り上げが伸⻑しており、グローバルでは20%台後半の増加を達成し、全体での⽐率は30%にまで増加している。2019年には米国発のスキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」を買収しており、2021年10月から三越伊勢丹グループでの限定展開を開始予定だ。マスクによる肌荒れやイエナカ需要によるスキンケアへの興味関心の高まりを受け、資生堂もスキンケア領域に注力している。資生堂が約895億円で買収した同ブランドの売り上げは、2019年時点で約100億と今後の成長にも注目したい。緊急事態宣言の再発令に再延長、減収減益に悩まされるビューティ・メイクアップ企業は、資生堂のようにデジタル化の加速によってEコマースでの売上地盤強化を目指し、今後もウィズコロナ社会に向けて変革を強いられていくだろう。

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