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2022年春夏ミラノコレクションは参加64ブランド中40がリアルショーを披露 ビッグブランドに話題

Oct 6, 2021.もりかおりTokyo,JP
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フェンダーチェ

9月21から27日にかけて行われた2022年春夏ミラノコレクションでは、63ブランドのうち40ブランドがリアルショーを開催した。デジタル発表ではイメージ先行で服がよく見えずデザイナーの意図が分からないもどかしさがあったが、フィジカルならそんなことはない。しかし間隔を置いた客席やアジアからの来訪者がまばらだった会場からは、コロナとの戦いはまだ終わっていないことを感じさせられた。

今シーズンのトピックス

久々にミラノでの発表で存在感をアピールした「ジル・サンダー(JIL SANDER)」や、ラフ・シモンズ(Raf Simons)が共同クリエイティブ・ディレクター就任後、初のフィジカルショーを発表した「プラダ(PRADA)」をはじめ、ビッグブランドが大いに盛り上げた。御歳87歳のジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は「エンポリオ・アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」が40周年を迎え祝賀ムードの開催となった。またミラノのトリを飾る一大イベントとなったのが「フェンディ(FENDI)」と「ヴェルサーチェ(VERSACE)」が役割を交換して制作した「フェンダーチェ(FENDACE)」だ。フェンディは「ヴェルサーチェ バイ フェンディ」になり、一方のヴェルサーチェは「フェンディ・バイ・ヴェルサーチェ」となって互いのブランドをスワップ。双方がリスペクトし合いシグネチャーがミックスされたコレクションは不穏な空気を一掃してファッションで気分を盛り上げたいという純粋な思いが感じられた。

ベスト1 「プラダ(PRADA)」

ショーの見せ方、哲学にも通ずるにファッションに対する姿勢、二人のデザインの融合、その三位一体が見事だった。リアルショーになった今回はミラノと上海の二つの都市で同時に開催。その模様はそれぞれの会場内でも映像で映し出され、同時進行で同じルックを着たモデルがシンクロした。グラマラスな装飾とグラフィカルなモチーフで華美なスタイルを見せた先シーズンから一転して、今シーズンはミニマルに徹した。ミニスカートの後ろに長く垂れ下がる帯状のトレーンは今シーズンのアイコン的存在だ。バックスタイルはボタンを開けっぱなしにして背中を曝け出し、ドレスのウエストには最小限のボーンがコルセットの役割を果たす。アンダーバストに配したワイヤーで立体的に描いたニットを含め、女性の身体を締め付けていたディテールをミニマルにすることで新たな女性の魅力を引き出した。ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズ、それぞれのフィルターを通したプラダ像は実験的な挑戦と融合、そしてお互いが承認しあうことでうまく機能している。パワーバランスがフラットなのは共にもうひとつの持ち場(ミウッチャなら「ミュウミュウ」、ラフならシグネチャーブランド)がある余裕からかもしれない。

ベスト2 「ジル・サンダー(JIL SANDER)」

ルーシー&ルーク・メイヤー(Lucie&Luke Meier)による「ジル・サンダー」が優しさと美しさで際立っていた。ビッグショルダーのジャケットは一見すると強さも感じられるが、襟元からボウタイをはらりと肩に掛けることでやわらぎを与えた。ラベンダーやクリームイエローなどシャーベットカラー使いでも、溶け出すかのように安らいだ表情を見せる。素材や色柄の選出はブランドに誠実に向き合い、時代にフィットする服の在り方を見抜いている。創始者であるジル・サンダー氏もこの二人の作り出す世界には安堵していることだろう。

ベスト3 「フェンディ(FENDI)」

ブランドにリスペクトした服作りでは「フェンディ」におけるキム・ジョーンズも負けていない。ミラノでは先のベスト2ブランドのような削ぎ落としたデザインと共に、ポジティブでエキサイティングなコレクションも多く見られた。キムはブランドのレガシーを丁寧に継承しつつ、前任者カール・ラガーフェルドの功績も称えて、彼と親交のあったファッションイラストレーター、アントニオ・ロペスから着想した。またNYの伝説的なディスコ「スタジオ54」からイメージを広げ70年代の煌びやかなディスコスタイルでゴージャスにフェンディの世界を描いた。イタリアンブランドならではのクラフトワークと柔軟な頭脳で遊び心を発揮するキムのデザイン力に脱帽だ。

ベスト3以外では、クラフツマンシップもさることながら、革新的なブランドでありたいという決意表明とも取れる軽やかさと抜け感でデザインの幅が広がった「トッズ(TODS)」も好感が持てた。一方「マルニ(MARNI)」は人の情感に訴えかけるような感動的な演出だったが、同等の熱量が服自体にはあったのか、疑問が残った。

 

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