「朝霧JAM2021」は9月14日、コロナ禍による静岡県への緊急事態宣言の延長を受け開催を見送ることを発表した。今回の開催見送りにより、2019年の台風による開催中止から3年連続の中止となる。なお静岡県は、現在9月30日まで緊急事態宣言が延長されている。「朝霧JAM」は、2001年に始まった野外音楽イベントで、今年は10月9日から10日にかけて開催予定だった。例年では、富士山麓で行われるこのイベントに、キャンプをしながら音楽を楽しむ2万4000人ほどの人が訪れていた。
今回の「朝霧JAM2021」のように、コロナ禍における音楽フェスの開催の有無は現在大きな話題となっている。特にここ最近でよく話題にあがったのが、8月に開催された「フジロック・フェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)'21」と「NAMIMONOGATARI2021」だ。「フジロック・フェスティバル」は、飲酒禁止やマスク着用などのルールを守らない来場者の姿がSNS上で話題となり、その開催決定の是非が問われた。また「NAMIMONOGATARI2021」では、3密や飲酒などのルールが守られず、また出演アーティストが客を煽ることでさらにそれがヒートアップする様子が、こちらもSNSで拡散され大きな話題となった。加えて「NAMIMONOGATARI2021」は、国や自治体の感染対策の方針を守るという条件を無視したとして、最大3千万円の開催支援補助の交付が取り消された。このように、コロナ禍における音楽フェスの開催は現状困難を極めている。
コロナ禍における音楽フェスの開催が危ぶまれる中、8月22日には西川貴教が主催する「イナズマロックフェス2021」が開催中止を発表するなど多くのフェスが開催中止を発表している。こちらも有名大型フェスの「スーパーソニック」は、千葉市の延期要望を退け、予定通り開催することを発表し、9月9日付で千葉市の後援が取り消された。なお、大阪公演は8月30日に中止が発表されている。
「NAMIMONOGATARI2021」の一件で、記者から「音楽フェスは原則禁止にしないのか」と問われた愛知県の大村知事は、感染防止策を守りながら活動する音楽業界関係者をつぶしかねないという理由から「それは違うのではないか」と回答した。苦境に立たされる音楽業界のためにも、安全に音楽を楽しむためにも、イベント関係者だけでなく来場者一人一人の責任ある決断と行動が求められている。