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斎藤幸平に「ボイコットファッション」を語らせた「ファッション通信」は放送事故か?

Mar 26, 2021.久米川一郎Tokyo, JP
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斎藤幸平 人新世の「資本論」

土曜日の午後11時からBSテレ東で「ファッション通信」という30分番組が放送されている。パリコレやミラノコレなどのファッションウィークを紹介するのがメインの番組だが、とにかく編集に時間がかかるのか、この御時世に、ショーが発表されてから実際に放映されるまでに2週間もかかるという悠長さには呆れるばかりである。再放送がやたらと多いのにも閉口である。そういう怠惰な番組だが、ビックリするようなクリーンヒットを放つ時もある。3月20日に放映された「VOICES FOR CHANGE!」と題された放送では、台頭する世界の女性リーダー、サステイナブルムーブメントなどが紹介され、「人新世の『資本論』」で注目を集める哲学者・経済思想史研究者の斎藤幸平まで登場する「豪華さ」だった。その斎藤幸平の5分ほどのインタビュー内で、「ボイコットファッション」のムーブメントが語られたのは驚きだった。ほとんど「コレクション・ヴィクテム」と言っていいほどに「ファッション」という幻影に踊らされているのではないかと思える「ファッション通信」が、斎藤幸平の「ボイコットファッション」のコメントを編集せずに放送してしまったのに驚いてしまったのだ。放送事故級の出来事ではないのか。あらためて説明すると#boycottfashionは環境保護運動組織「Extinction Rebelion」の呼びかけで2019年に始まった「52週間新しい服を買わないファッションボイコットキャンペーン」である。Z世代(1990年以降生まれの世代)を中心に大きな広がりをみせている。新進デザイナーのフィービー・イングリッシュやファッション評論家のカリン・フランクリンなどが支持を表明している。まだ日本では具体的な動きは見られていないが、早晩登場してくるのではないだろうか。消費者をマーケティングという魔法にかけて「ファッションの楽しさをエモーショナルに伝えていく」なんというのが寝言だと言われる時代が本当に来るのだろうか。斎藤幸平の「人新世」とは「企業や政府主導のサステイナブルには限界があり、それは市民主導でなければ無意味」という意味だが、分断された市民たちによる注目したい市民運動ではある。

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