ヤフー(Yahoo! JAPAN)は、インターネットニュース配信サービス「ヤフーニュース(Yahoo!ニュース)」に、2021年10月19日から導入したコメント欄の自動非表示機能の導入後の状況を公表した。
「ヤフーニュース」では、ニュースに関するユーザー間の多様な意見の共有、新たな視点を得る機会の創出を目的として、2007年からコメント欄を提供している。これまで、24時間体制の専門チームによる人的なパトロールや、自社開発のAIなど様々な対策を講じてきた。その結果、誹謗中傷をはじめとする違反投稿を1カ月で約35万件削除することに成功した。一方で、一部のコメント欄においては、未だ「ヤフーニュース」が目指すコメント欄の目的を実現できていなかった。そこで、一定以上の投稿数がある記事のコメント欄を対象に、AIが判定した違反コメント数などの基準に従い、コメント欄を自動的に非表示にする機能が導入された。今回ヤフーは、同機能の透明性を確保するために状況を公表するに至った。
導入開始から12月18日までの2カ月間で、コメント欄が非表示となった記事数は合計216件、1日あたり平均3.5件、1日あたりの配信記事数(7,511件)に対しておよそ0.05%であった。コメント欄が非表示となった記事を媒体種別に見ると、件数が多い順に一般紙・通信社が47件、週刊誌が42件、テレビが41件、ネットメディアが37件、スポーツ紙・夕刊紙が31件、海外メディアが18件という結果となった。また、非表示にする基準には、恣意性を排除するため、AIが判定した違反コメント数など客観的な指標が用いられている。この基準を用いて非表示となったコメント欄を検証した結果、媒体の種類や記事の内容などを問わず、様々な記事のコメント欄が非表示の対象となっていることが判明した。
更にヤフーは、本件の検証にあたり外部の意見を取り入れるため、ヤフーが2020年に実施した「プラットフォームサービスの運営の在り方検討会」の有識者に意見を調査した。有識者からは、コメント欄に誹謗中傷などの投稿が集中しているような状況において、自動非表示機能は一定の有効な手段であると支持するコメントがある中、恣意的な運用とならないように基準を明確にし、かつ、基準の採用理由を対外的に説明し尽していく重要性も意見された。また、同機能は建設的な意見も事実上削除してしまうため、コメント欄全体の非表示にはより慎重になる必要があり、違反者や違反投稿への対策をこれまで以上に進めるなど、非表示措置に限られない対策についても適切に推進する必要があるとの意見もあった。
ヤフーは今後、有識者からの意見を踏まえ、コメント欄非表示機能についての透明化確保に取り組み、ユーザーが安心してサービスを利用できるように継続的な改善を行うとしている。