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セブン王国を揺るがすFC一揆

Apr 15, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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セブン&アイ・ホールディングスの株価が下げ止まらない。傘下の主力企業セブン–イレブン・ジャパンの24時間営業をめぐる加盟店との問題が2月1日に勃発し、ついには4月8日付で古屋一樹・社長(69)が取締役会長に退き、永松文彦・副社長(63)が社長に就任するという社長人事にまで発展したが、業績の下方修正もあって株価の方はさらに下落し4月9日には前日比−106円の3975円で終了し、久方振りに4000円台を割り込んだ。社長交代という切り札も株価には効力がなかったようだ。事の発端は、人手不足に陥った東大阪市の「セブン–イレブン東大阪南上松店」が2月1日から19時閉店にしたところ、セブン–イレブンから契約解除と1700万円の違約金支払いを通達されたこと。これがSNSなどで拡散されて、ネット、新聞、TVなどで取り上げられ「事件」化したもの。言って見れば、苛め抜かれたFC(フランチャイズ店)が、本部に反旗を翻したわけで、FC一揆とも言える問題だ。まず3月3日、セブン–イレブン本社は、直店の10店舗で営業時間を朝7時から11時までにして試験的に開始すると発表した。しかし、株価には逆効果で3月4日に83円安の4785円で終了。それから1カ月余りで1000円近く下げ、社長交代も効果がなかったのは前述した通り。

日本にコンビニエンス・ストアを根付かせたセブン–イレブンは、現在日本国内に約2万件を擁するコンビニ業界の盟主である。コンビニの業界規模は2018年に10兆円9646億円(日本フランチャイズ協会による)だが、このうちセブン–イレブンのシェアは42%で、2位の伊藤忠商事系ファミリーマート(29%)、3位の三菱商事系ローソン(19%)を大きくリードしている。

実質的な創業者であった鈴木敏文氏の退任事件(2016年)に次いで、コンビニ王国を揺るがせている24時間営業問題だが、一種のプライドを賭けた「社内抗争」だった鈴木敏文氏退任事件とは異なり業績に直結する問題だけに、セブン–イレブンも慎重かつ賢明な解決が求められる。セブン&アイ・ホールディングスの史上最高値は2015年8月6日の5998円だが、3000円台は2014年まで遡らないと存在しない株価だ。ある意味では、この24時間営業問題は、単なる営業時間問題だけではない、コンビニのあり方を問い直す根本の問題として、2万店・5兆円のセブン王国の土台を揺るがしかねない大事件になる可能性もある。

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