「シャネル(CHANEL)」は2020年6月18日、2019年12月期の通期決算を発表した。売上高は122億2700万ドル(前年比13%増、約1兆3082億円*)、営業利益は34億9600万ドル(同16.6%増、約3740億円*)、純利益は24億1000万ドル(同11.3%、約2578億円*)と増収増益だった。
部門別では、ファッション部門と宝飾時計部門が2桁増の成長だった。地域別では、アジアでの売上高が54億2600万ドル(前年比14.7%増、約5805億円*)で総売上高の44%を占めた。続いてヨーロッパが45億3400万ドル(同5.9%増、約4851億円*)で37%、アメリカが23億1300万ドル(同9.7%、約2474億円*)で19%を占めた。
2020年度については、好調なスタートをきったものの、新型コロナウイルスの影響ですべての地域の店舗で売上減になると予測している。また、フェイスマスクとガウンの生産を継続し、可能な限りの支援をしていくという。
2020年は15から20%の減収で収まるというのが、ラグジュアリーブランドの最高峰の一つらしい強さである。またシャネルは非上場企業であるにもかかわらず、最近決算をよく公開している。なんらかの意図があるはずだ。今回については、ひとつにはカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の死が業績になんら影響を及ぼしていないことをアピールしたかったのだろう。もうひとつは、同社が上場を意識しているということなのではないか。
シャネル社株の大半はニューヨーク在住のヴェルタイマー兄弟が所有している。二人はよほどの重大案件以外、経営に口を挟むことはない。彼らの最大関心事は競馬である。ちなみに2012年の凱旋門賞を勝ったソレミアは彼らが馬主である。その彼らが一部あるいはかなりの所有株を手放し上場を考えているということなのか。コロナ・パンデミックで考えが大きく変わるようなことがあったのか。いずれにしても今後に注目したい。