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閉店続くファストリ傘下の「コントワー・デ・コトニエ」は今後どうなるのか?

May 6, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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フランスの「コントワー・デ・コトニエ」ル・マレ店

ファーストリテイリングが2005年に買収した「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)」(以下「コトニエ」)の日本での閉店が続いている。ブランド専用のオンラインショップまで閉鎖されるというのだから、日本でのビジネスはほぼなくなるということなのだろう。

いろいろ調べてみると、2008年に進出したアメリカも、2016年3月にはニューヨークにある6店を含め、すべて閉店して撤退している。このアメリカ撤退についてのAnais Lereverendによる「Fashion Network」の記事には、「これでEU圏以外の展開はほぼ日本だけになる」とあり、「新クリエイティブ・ディレクターにデザイナーのアン=ヴァレリー・アッシュ(Anne-Valerie Hash)を迎え既に改革を始めており、まずはホームグラウンドであるフランスでリブランドを進めるようだ」と書かれている。

さらにその4年後の2020年春夏のデザインからクリエイティブ・ディレクターに編集者・スタイリスト出身のナタリー・マーシャル(Nathalie Marchal)を迎えていると発表が同ブランドからされている。クリエイティブ・ディレクターを代えていろいろやってはみるが、なかなか売れないという感じがひしひしと伝わってくる。

「長谷川たかこのパリのふつうの生活」(2021年3月5日)では、「世界中に店舗があるとはいえ、過半数はフランスで191店舗&コーナー。そのうち74店舗&コーナーを(デパート内のコーナーはすべて)閉め、40%にあたる217ポストを削減と発表」と書かれている。アメリカ、日本だけではなく、本家フランスでも厳しい情勢のようだ。この2つのブランド(下着の「プリンセス・タムタム」のことも書かれている)は、「2005年、ファーストリテイリングの傘下に入り、以来『コトニエ』は少しずつ人気を落として行った。閉店が続く理由のひとつは、『ユニクロ』のラインによく似ているのに『ユニクロ』より高いこと。コトニエ・ファンの多くは『ユニクロ』に流れた気がする。もうひとつ、店舗があまりに多すぎた」長谷川女史は分析している。

2005年にファーストリテイリングが買収した時に、柳井正会長兼社長はインタビューで次のように答えている。以下は同社のプレスリリースからの抜粋だ。

1.「コトニエ」はフランスのカジュアルブランドとしてはNo.1の認知度がある。今後はヨーロッパ全土、日本、アメリカでの展開が可能。また我々がグローバル展開する上での強力なパートナーになり得る。「コトニエ」の経営チームに人を送り込むことは考えていない。ただし日本での「コトニエ」の展開におけるオペレーションを学ぶために人材は派遣する。

2.買収価格はFR FRANCEへの7500万ユーロ(約100億円程度)の増資を超えない範囲と認識して欲しい。

3.「コトニエ」のコンセプト・デザインを「ユニクロ」に取り入れることは全く考えていない。両ブランドは全く異なるブランド。ただし生産体制や情報システムなどのインフラについては、お互い協力していきたい。

1〜3が主な答えだ。しかし、どうも残念ながら2005年の買収以来、17年が経過して、大きな成果は上がらなかったようだ。その17年には、2008年9月のリーマン・ショックがあり、2020年2月以来のコロナ禍という向かい風まで吹いた。

柳井正会長兼社長には「一勝九敗」という著書があるが、「失敗を恐れてはならない。しかし新規事業の成功確率は『一勝九敗』程度であり、大切なのは失敗したと思えば深傷を負って再起不能にならないように早めに撤退することだ」と述べている。実際、無農薬野菜販売、「SKIP(スキップ)」ブランドによるネット販売と会員制販売、キャビン買収、靴のCANDISH買収などの失敗でも素早い撤退が注目された。だとすれば今回の「コトニエ」の17年にもわたる長き買収事業は異例中の異例とも言える。ここからあっと驚くような秘策が飛び出るとも思えない。もうすでに売却を決めているのではないか。買い手さえいれば売却することに異論はないはずだ。今年8月決算までに結論が出そうな気はする。2兆円企業ファーストリテイリングにとっては今やたいした問題でもあるまいが。

 

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