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三浦彰WWDジャパン元編集長が分析するコロナ禍で株価が下落したファッション企業ワースト10

Jan 13, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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WEBメディア「SEVENTIE TWO」では、ファッション&アパレル関連の100銘柄をピックアップして、昨2020年に株価が大きく下落したワースト10(前々回と前回では値上がり株ベスト10を紹介)をピックアップした。2020年の大発会(1月4日)の初値と大納会(12月30日)の終値を比較した騰落率によるランキングだ。対象の100銘柄は脚注に示してある。

まずワースト第1位は百貨店アパレルのナンバーワン企業であるオンワードホールディングスで下落率は67.8%。年初642円だった株価は3分の1以下の207円まで下落した。1960-80年代の百貨店アパレルのトップはレナウンだったが、1990年代以降の百貨店アパレルのトップに君臨しているのがオンワードHDだ。レナウンは昨年破綻し、民事再生法を申請。しかし主力事業を売却したことで存続する実体がないと裁判所が判断し申請は却下され結局自己破産した。コロナ破綻第1号のレッテルを貼られたが、すでに2010年には中国の山東如意に買収されてコロナ以前に死に体であった。オンワードHDもコロナ以前から厳しい状況に置かれており、国内外約3000店舗のうち、2019年2月決算では700店舗の閉鎖発表、2020年2月決算でも追加の700店舗の閉鎖を発表し、業界を驚かせたが、これにコロナが追い討ちをかけて、百貨店アパレル最大手も赤字転落している。すでに店舗閉鎖の他に不動産売却やECチャネルへの転換などの施策を進めているが、前途は多難だ。投資家のジャッジも同様だった。今後の注目は保有するジル サンダー社などの海外企業の売却だろう。2度目の緊急事態宣言で百貨店のアパレルビジネスはさらに厳しい状況に入り、構造改革とコロナ対応の2つを同時に進めなければならないという難局に立たされている。

ワースト第3位のTSIホールディングスにも同様のことが言える。同社は、2011年6月に旧東京スタイルと旧サンエー・インターナショナルが経営統合して誕生した。が、旧東京スタイルのビジネスは、セレクトショップの「ナノ・ユニバース(Nano Universe)」や「ローズバッド(Rose Bud)」を除いて、ほとんどのブランドは市場から消えた。実際、2018年12月に東京スタイルは休眠会社になった。簡単に言えば、7年をかけてサンエー・インターナショナルは東京スタイルを吸収合併したことになる。その経緯はともかく、TSIホールディングスは、すでに百貨店比率は12.6%(2020年2月決算)を割っているから、百貨店アパレルという言い方は適切ではない。同社の場合、EC化比率も21.4%(同決算)と高率で、1700億円も売り上げがあって営業利益が7000万円(同決算)しかない方が問題だろう。要するに定価で売れる商品が少ないのである。問題は「どうしたら売れるのか?どうしたら売れる商品が作れるのか?」に尽きるようだ。その根本問題が解決されない限り、この低迷基調は続いていくだろう。昨年6月に1991年スタートして一世を風靡したキャリア向けブランドの「ナチュラルビューティー(Natural Beauty)」を休止した。この例でも分かるが今の時代にフィットしたブランドの開発というのがアパレルメーカーの最大の課題だ。

ワースト5位は三陽商会(下落率56.9%)だ。百貨店アパレルからの脱却ができないまま、2015年春夏ものをもって主力ブランドの「バーバリー(Burberry)」とのライセンス契約を切られ、それから5年半が経過するが、危急存亡の危機は続いている。「バーバリー」に代わる「マッキントッシュ ロンドン(Mackintosh London)」はなかなか認知されないし、百貨店比率もいまだに60%以上である。2021年2月期は5期連続の赤字確実で、いよいよ正念場である。

ワースト第10位(下落率53.3%)のワールドについても同様だが、同社の百貨店販売比率は低くすでに百貨店アパレルではない。外部からスカウトした上山健二社長のもとで構造改革が進み、2018年9月には再上場を果たしたが、コロナ禍で赤字転落している。他のアパレルメーカーに比べれば深刻ではないが、機関投資家から見れば同じセクター銘柄と考えられ売られているようだ。

ワースト第7位は東京ソワール(下落率56.1%)。百貨店がメインチャネルのフォーマル専業のアパレルメーカーである。昨年は岐阜市に本社をおくフォーマルメーカーのラブリークイーンが6月に破綻して、その連想から売られているようだ。2019年12月期に続き2020年12月期も赤字。ウィメンズのブラックフォーマル(総売上高の62%)が主力だが、いかにもこれからの可能性が感じられない企業ではある。

専業というのも危険な業態であり、ワースト第2位(下落率65.0%)の青山商事、ワースト第9位(下落率54.0%)のAOKIホールディングスにも同様のことが言える。紳士服専門店、それもスーツ主力というのが厳しさの原因だ。ウィメンズのスーツやカラオケボックス(AOKI HDの「コートダジュール」)など多角化を進めているが、紳士服市場の縮小のスピードを超えられるかどうか。

ワースト第4位(下落率57.5%)のサマンサタバサジャパンリミテッド(SMTJ LTD)は紳士服専門店第3位のコナカによって昨年に完全子会社化されたが、同じコナカ傘下のバッグメーカーのフィットハウスを吸収合併することになった。しかしSMTJ LTDが実質的存続会社でないと指摘を受け、東京証券取引所から猶予期間入り銘柄に指定され、最悪の場合は上場廃止になることから不安が広がり値を下げた。果たしてコロナ禍で苦戦するコナカの傘下でSMTJ LTDは復活は遂げられるのか。

ワースト第8位(下落率54.1%)はセイコーホールディングス。ライバルのシチズン時計もワースト12位(下落率49.4%)だが、両社ともに2021年3月期はコロナ禍も手伝って2期連続の減益決算に続いて赤字決算になり2021年3月期は大きく減配。スマートウォッチの攻勢に加えて、コロナ禍によりインバウンド需要が激減し外国人観光客に人気だった腕時計の売り上げが落ち込んでおり、株価が大きく下げたのも肯ける。

ワースト第6位(下落率56.2%)はRIZAPグループの夢展望。アパレル、ジュエリー、玩具が3本柱のEC会社だが、どうもパッとしない。2018年に住商ブランドマネジメントから買収したシャツブランド「ナラカミーチェ(NARA CAMICIE)」もむしろ重荷になっているようだ。EC企業でもコロナ禍で業績がふるわない企業があるのだ。

※「SEVENTIE TWO」ファッション&アパレル関連100銘柄
BASE、ロコンド、メルカリ、島忠、スノーピーク、西松屋チェーン、イオン、クロスプラス、ファーストリテイリング、エニグモ、しまむら、ニトリホールディングス、ZOZO、アシックス、ドウシシャ、タキヒヨー、マツオカコーポレーション、ジーンズメイト、ライトオン、松屋、良品計画、カッシーナ・イクスシー、ゴールドウイン、キング、TOKYO BASE、ワークマン、タビオ、近鉄百貨店、ダブルエー、ルックホールディングス、デサント、キムラタン、ジンズ、セブン&アイ・ホールディングス、ヤマトインターナショナル、アダストリア、ヤギ、ANAP、コックス、はるやまホールディングス、4°Cホールディングス、シャルレ、ナイガイ、ABCマート、千趣会、山喜、ミズノ、丸井グループ、タカキュー、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、グンゼ、井筒屋、フェスタリアホールディングス、ダイドーリミテッド、高島屋、堀田丸正、コナカ、ゼビオホールディングス、ワコールホールディングス、ハニーズホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、バロックジャパンリミテッド、コメ兵、ムーンバット、サックスバー ホールディングス、川辺、チヨダ、パルグループホールディングス、アツギ、パレモ・ホールディングス、エイチ・ツー・オー リテイリング、MRKホールディングス、ナルミヤ・インターナショナル、J.フロント リテイリング、ラピーヌ、ユナイテッドアローズ、ワールド、AOKIホールディングス、セイコーホールディングス、東京ソワール、夢展望、三陽商会、サマンサタバサジャパンリミテッド、TSIホールディングス、青山商事、オンワードホールディングス、グンゼ、ツカモト、ラオックス、自重堂、マックハウス、GSIクレオス、クリーマ、ナガホリ、DCMホールディングス、大塚家具、ながの東急百貨店、カシオ計算機、さいか屋、山陽百貨店、シチズン時計

 

 

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