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中国発のメンズブランド「ダンノン」はモダンチャイニーズ・ブランドの先駆者となるか

Mar 25, 2021.高村 学Tokyo, JP
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「ダンノン 」の加藤辰紀・営業部長(PHOTO:SEVENTIE TWO)

2013年にアーティストのDNが中心となって設立した中国発のメンズブランド「ダンノン(單農)」。2020年1月には海外初進出となる旗艦店を東京・南青山に出店し、今年2月には松屋銀座に出店、「モダンチャイニーズ・ブランド」としてファッション業界の関係者を中心に日本でも注目を集めている。「ダンノン」は、設立からわずか8年で中国国内に116店舗を展開し、年商は140億円を超えるほどにまで急成長している。上海や北京、深圳、成都などの1級都市を中心に出店し、ラグジュアリーブランドが集積する商業施設「上海浦東ケリーセンター」を始め、ザハ・ハディッド(Zaha Hadid)の遺作となった中国最大の国際空港「北京大興国際空港」などに直営店を構えている。

南青山の旗艦店

もともとDNが友人のアーティストたちのために洋服をオーダーメイドでつくっていたことがきっかけで、それがアート業界で評判となり、顧客が次第に増えていき、独自のファッションブランド「ダンノン」を立ち上げるに至った。顧客には、アーティストの蔡國強(ツァイ・グオチャン)や映画監督の陳凱歌(チェン・カイコー)といった世界的な文化人が名を連ねている。「『ダンノン』はモダンチャイニーズ・ブランドとして、中国だけではなく日本でも注目され始めています」と、「ダンノン」の営業部長の加藤辰紀氏は語る。「ダンノン」は日本国内では本国100%出資の株式会社開元が運営を手掛けている。

「ダンノン」は、東洋の哲学や文化に根ざしたデザイン、そして素材のバリエーションが大きな特徴だ。デザイナーのDNは、素材選びに徹底的にこだわり、着心地の良さをもっとも重視している。ヨーロッパや中国の素材はそれぞれ20%ほどだが、日本の素材は60%ほど使っている。和紙や絞り染めなど日本の伝統を取り入れた素材をDNは好んで採用している。DNはコロナ禍になる前までは2カ月に1回のペースで来日し、機屋を回り日本のテキスタイルを買い付けてきた。山形から岡山まで日本全国のテキスタイルを熟知し、「日本人のデザイナーよりも日本の素材に詳しい」と、加藤氏も舌を巻く。

「『ダンノン』は、ひとつの素材に対して1色1型しかつくらないことが多いです。本来であれば、例えばひとつの素材で3色展開して4型つくる方がコストも抑えられて効率的です。ただ、DNはそういった考え方はしません。この素材であればこの色とこの形、というふうに考えます。まさにアーティストの考え方です。日本では、こんな非効率なものづくりをしているブランドはありませんが、ただこうした美学を追求する姿勢が評価をいただいているのだと思います」と、加藤氏はDNのものづくりに対するこだわりについて語る。

「『ダンノン』が設立されたころの中国は、男性のファッションといえばスーツを着るか、ものすごくカジュアルかの両極端でした。最初はアート業界で人気となりましたが、その後、中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳で、スーツを着なくてもいいIT関係の会社オーナーやそのスタッフたちに受け入れられました」。「ダンノン」はシンプルでありながら、ディティールにこだわりがある。すべてのパンツには紐でウエストをしめるドローコードが付いており、素材感はもちろんこういった隠れた機能性も中国のIT業界関係者に受け入れられたのだろう。

取引先からの期待も高く、日本国内2店舗となる松屋銀座の木村麻里・紳士課長は、「品質がいいだけでなく、素材のセレクトやデザインがとても洗練されていて、さらにコストパフォーマンスが高い。目の肥えた銀座のお客様に、是非ともご紹介したい、という思いでご出店していただきました」と語っている。

今年2月に出店した松屋銀座の「ダンノン 」

「ダンノン」は中国ブランドとしては珍しく、ECやSNSに重きを置いていない。「リアル店舗で売ることがDNのポリシーとしてあります。手に取ってもらえれば、真面目なものをつくっているとわかってもらえるブランドです。日本ではそういったことを積極的に伝えていきたい」と、加藤氏は語る。「日本人にできるだけ着て欲しい」というDNの思いは、チームラボのデジタルアートを掲げている南青山の店内や日本の素材をふんだんに採用した商品からも伝わってくる。今後は、セレクトショップ等での展開も検討していくというから、「ダンノン」を目にする機会も増えてくるだろう。中国発ブランドをリードしていく存在として、これからの「ダンノン」に期待したい。

南青山の旗艦店の店内に掲げられたチームラボのデジタルアート

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