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ファミリーマートの「ファセッタズム」コラボのなぜ?

Mar 25, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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20219月に創立40周年を迎える「ファミリーマート」が、メモリアルイヤーに「40のいいこと!?」に取り組むという。その活動のひとつとして「ファセッタズム(FACETASM)」ブランドのデザイナーの落合宏理(おちあいひろみち)と共同開発したアパレル「コンビニエンス ウェア」を3月23日から全国約1万6700店舗で販売するという(既報)

周知のように、伊藤忠商事は昨年8年に、ファミリーマートに対してTOB(株式公開買い付け)を行って、11月12日をもって上場廃止にしている。その後、1月18日に伊藤忠の細見研介執行役員・第8カンパニープレジデントが3月1日付で代表取締役社長に就任する発表を行なっている。澤田貴司前社長は代表取締役副会長になっている。澤田氏も元はと言えば上智大学卒業後は伊藤忠でサラリーマン人生をスタートし、ファーストリテイリングに転職し、柳井正会長から社長就任を打診され固辞した人物。ちなみに取締役会長には伊藤忠商事出身で2017年からユニー・ファミリーマートホールディングス代表取締役だった高柳浩二前代表取締役会長が就いている。

要するにコンビニ3強の中で低迷するファミリーマートが伊藤忠完全子会社化で、業界トップのセブン-イレブンに立ち向かうという枠組みはでき上がったわけだが、今回の落合宏理デザイナーとのコラボ企画も細見新社長のリーダーシップが感じられるプロジェクトである。細見氏と言えば、これは伊藤忠の岡藤現代表取締役会長が繊維カンパニーブランドマーケティング事業部長時代に徹底的にしごいて岡藤イズムを叩き込んだ愛弟子である。就任第1弾としてアパレルコラボを打ち出してくるのも、いかにも細見カラーではある。

しかし、写真を見る限りでは、澤田会長が一時勤務していたファーストリテイリングの「ユニクロ(UNIQLO)」みたいな、スーパーベーシックウェアだ。失礼だがこんな白Tシャツは駆け出しのデザイナーでもデザインできるだろう。そもそも「ユニクロ」にやらせればいいと思うが、「ユニクロ」は岡藤伊藤忠商事の天敵とも言うべき三菱商事がガッチリと生産を握っているのである。ここは、伊藤忠のアパレルパワーを見せつけるということで独自企画したのであろう。「ユニクロ」が東レの資材ネットワークならば、こっちは旭化成のペアクールを使うという対抗意識丸出しなのが微笑ましい。

ちょっと理解できないのが、「ファセッタズム」落合宏理の起用である。あまりにもオタク好みではないのか。「ファセッタズム」なんて、ファッションオタクしか知らないデザイナーである。全国1万6700店のファミリーマートで「コンビニエンス ウェア」を買うようなアウト・オブ・ファッションの連中に「ファセッタズム」とか「落合宏理」って言ったって何の意味があるのだろうか。もうファッションデザイナーなんていうのに一般の消費者が関心を持っている時代はとっくの昔に終わったように思うのだが。なんかマークや印(しるし)がついていれば十分なわけで、それは「鬼滅の刃」でも「エヴァンゲリオン」でも「ドラえもん」でもいいわけで。それとも2017年5月にIT企業のネクストグループのバーサタイルにファセッタズムの親会社であるTOP MOVIE JAPANの51%の株式と商標権を売っていた落合宏理は現在は伊藤忠系の資本系列に組み込まれているということなのだろうか。まあ鬼滅やエヴァンゲリオンなんかに比べたら落合のコラボ料なんて微々たるものだと思うが。

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