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次のM&Aは「フェンティビューティ」?ミレニアル世代獲得に動くビューティ大手

Jul 26, 2018.セブツー編集部Tokyo, JP
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大手企業や投資ファンドによる新興ビューティブランドの買収が盛んだ。昨年、美容業界全体の収益は177億ドル(約2兆円*)で前年比6%増で拡大していて、立て続けの買収はその伸びしろに業界内外から注目が集まっていることの現れだろう。ここ数年の主要企業や投資ファンドの買収は以下の通り。

全体的にSNSを活用し急速に成長した新興ブランドに大手が目をつけ、特にミレニアル世代の獲得を狙って買収するといった事例が多い。今後買収の動きが予想されるブランドには、今年7月に仏の投資会社EURAZEO BRANDS(ユーラゼオ ブランズ)から6000万ドル(約66億6000万円*)の投資を受けた、メイクアップアーティストPat McGrath(パット・マクグラス)が手掛けるメイクアップブランド「PAT McGRATH LABS(パット マクグラス ラボ)」や、”美容業界のZARA(ザラ)”と呼ばれている「Winky Lux(ウィンキーラックス)」、歌手のRihanna(リアーナ)監修で熱狂的な人気のある「Fenty Beauty(フェンティ ビューティー)」などが挙げられる。

アジアでも買収の動きは活発で、海を挟んでお隣韓国では今年5月の仏L’Oréal(ロレアル)によるNANDA(ナンダ)社買収が大変な話題になった。NANDAは2004年に当時22歳だった創業者兼CEOのキム・ソヒ(So Hee Kim)が立ち上げたファッションスタートアップのさきがけ的存在で、L’Oréalはここが持つオリジナルメイクアップブランド「3CE(スリーコンセプトアイズ)」の中国での人気に目をつけたという。実際「3CE」は日本でも伊勢丹や阪急梅田に店舗を開くなど人気が高く、AMOREPACIFIC(アモーレパシフィック)社の「ETUDE HOUSE(エチュードハウス)」や「innisfree(イニスフリー)」などと並んで、韓国化粧品業界を代表するブランドの一つだ。今や売り上げの7割を担い(昨年度売上高1億2700万ユーロ、約165億1000万円*)、NANDA社の主事業のファッションEC「STYLENANDA(スタイルナンダ)」を凌駕していると言っても過言ではない。

日本企業の海外進出や海外市場強化も積極的に行われている。「@cosme(アットコスメ)」を運営するiStyle(アイスタイル )は今年6月に韓国に初進出、新羅免税店ソウル本店に「@cosme J Beauty Park」をオープン。美白製品を中心に中国で根強い人気を誇る「POLA」は中華圏強化のため、4月までに北京、杭州、香港、上海の百貨店に新店舗を出店した。同じく中国で絶大な支持を集める「SUQQU(スック)」はイギリスの百貨店「Selfridges(セルフリッジズ)」にあるカウンターを拡大、現地顧客とロンドンを訪れる中華圏の顧客にアプローチする場を整えた。「IPSA(イプサ)」は中国で初めてアンバサダーを起用するなど現地での認知度向上策を打ち始めている。
KOSÉ(コーセー)の「DECORTÉ(コスメデコルテ)」は5月のSaks Fifth Avenueニューヨーク店のビューティフロア拡大に伴いカウンターをリニューアル。今年リブランドしたスキンケアブランド「Awake(アウェイク)」を、「Tarte(タルト)」の姉妹ブランドに位置付け展開を開始するなど若年層へのリーチも図り、北米市場に攻勢をかける。同社は昨年7月にはフランス・リヨンに研究施設を設置、イタリアで「DECORTÉ」の製品発表会を開催するなどヨーロッパでも積極的に活動している。

資生堂やロレアルのようにITベンチャーを買収するところも出てきていて、ビューティ業界でもデジタル化の波は避けられない。今後は若年層マーケティングとデジタライゼーションをM&Aによって最適化し、従来の枠を超える新たなコングロマリットをつくることがグローバルに展開する上で欠かせなくなってくるだろう。

*1ドル=111円換算、1ユーロ=130円換算(7月24日時点)

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