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Japan|次々に新手は出るが黒字化は程遠いメルカリに株主が望むことは?

Feb 28, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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フリマアプリのメルカリをめぐって、ニュースが相次いでいる。1月23日には子会社のメルペイがスマートフォン決済のオミガミを買収して完全子会社にした。これは「PayPay(ペイペイ)」を抱えるZホールディングス(旧ヤフー)と「LINEPay(ラインペイ)」の経営統合によって、NTTドコモやKDDI、そしてLINEと共にスマホ決済に関する加盟店アライアンス「Mobile Payment Alliance(モパ)」が解散で合意したことを受けて、加盟していたメルペイが独自路線で歩むために、戦力強化としてオリガミの買収に至ったと見られている。しかし、買収金額は1株1円の259万円だったことが最近判明。オリガミの185人の社員のうち約9割はリストラされている。今回のオリガミ買収はメルペイ側の焦りの現れと言えるかもしれない。

1500万人の会員を抱えるというフリマアプリがメルカリの牙城であるが、国内最大のコスメ・美容の総合サイト「アットコスメ(@cosme)」との業務提携をしたのは2月。「アットコスメ」やリアル店舗「アットコスメストア(@cosme store)」での一次流通の購買データに、「メルカリ」の持つ二次流通市場でのデータを加えて、化粧品メーカーに対してデータを可視化することを目的にしているという。また「メルカリ」での商品検索時に、一次流通の「アットコスメ」の情報を提供し、二次流通から一次流通への送客モデルの構築を実現するという。

なんとなく理想は高い。メルカリの化粧品の流通規模は年間400億円で前年比130%以上の成長だと言うが、「二次流通から一次流通への送客」なんて、簡単にできるものなのか。策に溺れた感がなきにしもあらずだが、どうだろう。メルカリも今年6月決算は赤字が確定的だが、これに負けず劣らずアイスタイルも今年6月決算は赤字に転落するようだ。オリガミ買収の時も「弱者連合」と陰口ををたたかれたメルカリだが、この業務提携も「弱者連合」と言われないことを祈る。

メルカリに関する最も新しいニュースは、同社が今春新宿マルイ本館に初のリアル店舗「メルカリステーション」を開設することだ。目的はより簡単にメルカリに出品できる環境づくりとデータ連携。同店ではメルカリの使い方が学べる教室や商品の撮影ブース、商品を発送できる無人投函ボックスが用意される。

またこの無人投函ポストの設置では、ヤマト運輸を集荷パートナーとして無人投函ボックス「メルカリポスト」を今夏から設置する。ドコモショップ、メルペイ加盟店などを中心に2023年までに全国5000カ所に設置する計画だ。

またスタッフスタートと連携し、「コーディネートから服を探す」機能を実現する。メルカリサイト内にコーディネートページを作り、画像から各企業のECサイトに遷移する仕組みで、二次流通から一次流通への送客を可能にする。初期パートナー企業としてアダストリア、パル、ベイクルーズを予定。

以上の内容を盛り込んだ同社初の事業戦略発表会「Mercari Conferrence 2020」は2月20日に行われ、山田進太郎CEOではなく同社執行役員の野辺一也VP of Business Opentionsが発表を行った。

この盛り沢山の発表があってもメルカリの株はなかなか上がらなかった。同社は2018年6月19日に東証マザーズに上場した。公募価格は3000円。上場初日は人気から初値が5000円、初日の高値は公募価格の倍の6000円まで高騰したが、その後は海外事業や多角化が裏目でなかなか連結で黒字化しないことで人気はなくなり、2019年1月4日には1784円の安値をつけ、現在も公募価格の3000円にはなかなか届かない。海外事業や多角化も切り離して国内のフリマアプリにのみ集中してくれないかというのは株主の共通した願いだろう。それだけで株価は自然に上昇する。

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