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2022年春夏ミラノメンズコレクション総評

Jul 8, 2021.もりかおりTokyo, JP
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「フェンディ」2022年春夏ミラノメンズコレクション

6月18日から6月22日まで開催された2022年春夏ミラノメンズコレクション。1年前にデジタルコレクションが始まって以来、長引くコロナ禍でプラットフォームを築く協会側と各ブランドが試行錯誤を重ねている。ミラノではロックダウンが解除され、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」や「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「エトロ(ETRO)」といったブランドがフィジカルでの発表に踏み切ったが、招待客を絞り万全な対策を講じた上での開催になった。

デジタルでの発表が国境を越える

デジタルでの発表の利点も見えてきた。ミラノコレクション参加という高かったハードルはネットを通じて軽々と国境を越えることができ、日本ブランドにとってはチャンスとなった。今シーズンは日本勢からは2ブランドが参加。抑制される社会や人間の感情を地下世界に投影し人工的な光の中で探検家をイメージした「ジエダ(JieDa)」と、日本のデッドストックの着物生地とネイティブアメリカンのテキスタイルをミックスした「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」だ。昨年から参加している「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」はミラノコレクションに籍を置いたことでコロナ禍においても販路は拡大したという。確かにコロナ以前のコレクションでは分刻みのスケジュールによって見落とされがちだった新人や無名のブランドにとって、見る側のタイミングでクリックひとつで観られるようになったことで間口が広がったと言える。多様性も追い風となり、デジタル上では国境のボーダーレス化が加速化し、確かな手応えを感じているブランドも増えた。

今シーズンのミラノのトピックス

「ディーゼル(DIESEL)」のデザイナーに「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」のグレン・マーティンス(Glenn Martens)が就任し、初のコレクションを行った。ひねりを効かせたコンセプチュアルなデザインで注目を集めている「Y/プロジェクト」だが、「ディーゼル」ではセクシーさと着やすさを中心に素材やその加工に重きを置いたデザインでまとめている。また時流に合わせてサステナブルな新ライン「ディーゼル ライブラリー」も登場し、ジェンダーレスで長く着ることを念頭に置いたワードローブを発表した。

ベスト1
「プラダ(PRADA)」
曲がりくねった赤いトンネルから始まったコレクションは、未来的で都会的な「プラダ」の印象を表現していたが、その先にあるのは打って変わって開放的なビーチだった。そこには浮遊物のような赤い物体が浮いていて、手付かずの自然とのコントラストが別次元の海辺を思わせた。服もまた都会的なテーラリングと開放的にロールアップしたマイクロショートパンツを合わせて展開。後ろのブリムが長くなったバケットハットにはブランドの三角プレートがポイントになり、バッグや小物も充実していた。端正で、リラックス感があって中性的。落とし所を曖昧にすることで新しさを吹き込むバランス感覚はさすがだ。

ベスト2
「フェンディ(FENDI)」
キム・ジョーンズ(KIM JONES)がウイメンズのチーフになったことは前回書いたが、メンズは創業者ファミリーのシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が継続して手掛けている。本社のあるローマの景観をバックにイタリア文明館のアーチや屋上が会場になった。ローマの空から着想した柔らかなカラーパレットや高所から見下ろしたローマの地図プリントなど、シルヴィアの視点で描かれたローマが随所に散りばめられたが、それ以上に目をひいたのが新しいボリューム感やプロポーションだ。ぷっくりと膨らむアウトポケットが付いたショートパンツはミニスカートのようなシルエットで、スパッと切り落としたようなミドリフ丈のスーツスタイルからはウエストがのぞく。フェミニンな要素を躊躇することなく入れ込むことで老舗ブランドの枠に留まらないチャレンジ精神を大いに感じさせた。新しいことには違和感や拒否反応が付きものだが、それを越えたところに新しいスタイルが待っている。中には突飛で終わってしまうものもあるがそこをモダンなラインに保てるのは、クオリティの高さがあるからだろう。

ベスト3
「MSGM」
先の二つと同様に「MSGM」でもショートパンツ満載のシーズンだが、イージーでサイケデリックな色柄が今シーズンの空気感とマッチしていた。サーフィンやダイビングといったマリンスポーツや海の生き物たちをモチーフにして、ファッション初心者にも手に取りやすい「夏のゆるカッコよさ」に仕上げている点に好感が持てた。

ベストに挙げた3ブランドをはじめ、今シーズンのミラノでは鮮やかな色柄やショートパンツをはじめとする開放的なリゾートアイテムを中心に、テーラードでは斬新なカットやコントラストを効かせたスタイリングが目立った。また「ドルチェ&ガッバーナ」はイルミネーションのごとくきらびやかな装飾で人々に楽観的でポジティブなメッセージを送った。「プラダ」が示したようにトンネルの先には楽園が待っているということか。

 

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