ベスト2
「フェンディ(FENDI)」
キム・ジョーンズ(KIM JONES)がウイメンズのチーフになったことは前回書いたが、メンズは創業者ファミリーのシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が継続して手掛けている。本社のあるローマの景観をバックにイタリア文明館のアーチや屋上が会場になった。ローマの空から着想した柔らかなカラーパレットや高所から見下ろしたローマの地図プリントなど、シルヴィアの視点で描かれたローマが随所に散りばめられたが、それ以上に目をひいたのが新しいボリューム感やプロポーションだ。ぷっくりと膨らむアウトポケットが付いたショートパンツはミニスカートのようなシルエットで、スパッと切り落としたようなミドリフ丈のスーツスタイルからはウエストがのぞく。フェミニンな要素を躊躇することなく入れ込むことで老舗ブランドの枠に留まらないチャレンジ精神を大いに感じさせた。新しいことには違和感や拒否反応が付きものだが、それを越えたところに新しいスタイルが待っている。中には突飛で終わってしまうものもあるがそこをモダンなラインに保てるのは、クオリティの高さがあるからだろう。
ベスト3
「MSGM」
先の二つと同様に「MSGM」でもショートパンツ満載のシーズンだが、イージーでサイケデリックな色柄が今シーズンの空気感とマッチしていた。サーフィンやダイビングといったマリンスポーツや海の生き物たちをモチーフにして、ファッション初心者にも手に取りやすい「夏のゆるカッコよさ」に仕上げている点に好感が持てた。
ベストに挙げた3ブランドをはじめ、今シーズンのミラノでは鮮やかな色柄やショートパンツをはじめとする開放的なリゾートアイテムを中心に、テーラードでは斬新なカットやコントラストを効かせたスタイリングが目立った。また「ドルチェ&ガッバーナ」はイルミネーションのごとくきらびやかな装飾で人々に楽観的でポジティブなメッセージを送った。「プラダ」が示したようにトンネルの先には楽園が待っているということか。