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Japan|「スリー」のグローバル化が加速、ACRO石橋寧会長が考える世界に通用するブランドとは

Aug 29, 2018.高村 学Tokyo, JP
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撮影:川原崎宣喜

来年でブランド誕生10周年を迎える「THREE(スリー)」が、売上高も海外展開も絶好調だ。2017年12月期の売上は前年度比30%増の80億円に達し、海外ではタイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、韓国、香港、台湾の7カ国・地域の49店舗に展開している。ブランドプロデューサーとして「THREE」を立ち上げ、J-beautyを代表するグローバルブランドに育てあげたのが株式会社ACROの石橋寧・取締役会長だ。前職時代には、「RMK(アールエムケー)」「SUQQU(スック)」を立ち上げ、同じように人気ブランドに育てあげた。その手腕は海外メディアからも"J-beautyのゴッドファーザー”として注目されている。今回、「THREE」の構想から今日に至るまでのブランド戦略について、石橋会長に話を聞いた。

 

SVT:海外での人気が数字にも表れていますね

石橋:2018年上期(1~6月)の海外売上比率は20%に達しました。ただ、これは海外の代理店に対する出荷ベースの数字です。お客さまの購入額ベースでは、取引のある海外7カ国・地域の売上高に免税店での売上高と訪日外国人による売上高を合算して考えると、日本人と外国人の売上比率はほぼ拮抗状態です。

SVT:「THREE」は初めからグローバルブランドを目指していたのでしょうか?

石橋:ACROを創業して10年になりますが、それ以前から日本発のグローバルブランドを作ることを意識していました。いろいろな国に行きますから、海外に行けば行くほど日本の素晴らしさに気付きましたね。日本は南北に細長い国ですから四季がはっきりしています。北海道と沖縄では気象環境が全く違いますし、観光地もたくさんあります。安心で安全でどこも清潔です。日本の物作りも高く評価されています。今日では3,000万人もの外国人が日本を訪れるようになり、インバウンド率など10年前と比較すると3倍どころではないですよね。海外によく行っていたので、10年も経ったら日本が注目される時代が来るだろうと気が付きました。その頃から、メイド・イン・ジャパンで世界に通用するブランドを作りたいと考えていました。

SVT:「THREE」が国内外で支持される理由についてはいかがでしょうか?

石橋:まず、日本の百貨店には世界中の化粧品ブランドがひしめき合っていますよね?この中に新しいブランドを投入しようとするわけですから当然、存在感がないと勝てません。すでにあるものを作っても絶対に勝てるわけがない。競合他社と同じ土俵には登らないということです。では、どういうブランドを作ればいいか、それは今までになかったものを作ればいいわけです。

欧米のブランドはメイクアップが圧倒的に強く、一方で日本のブランドはどちらかというとスキンケアが強い。どのブランドもどちらかなんですよね。メイクアップもスキンケアも両方が支持される、そういうブランドを私は作りたかった。それから、化粧品は基本的にケミカルです。ですが、「THREE」のスキンケアは天然由来率が85%から100%あります。つまり、ナチュラルなスキンケアとモードなメイクアップを併せ持つブランドが世界中どこにもなかった。それが「THREE」なのです。商品としての競合は出てきていますが、ブランドとしての競合は今もいません。他にないということが強みであり、国内外のお客さまから支持されている理由ではないでしょうか。

SVT:海外から注目されていることを実感したのはいつくらいでしょうか?

石橋:デビューしてすぐです。2009年9月に伊勢丹新宿店でデビューした時に、すぐ海外からオファーが入りましたから。ただ、デビューしたばかりでしたので、まずは日本での地固めを優先しました。その後、海外の人たちがどう反応するか欧米やアジアでプレゼンをしてみるとリアクションや評価はすべて一緒でした。その時にも、海外でもいけると感じました。

SVT:それは、どういったリアクションでしたでしょうか?

石橋:容器がガラスボトルでシンプルで格好良いと。高級ブランドと言われているところは大概、樹脂のボトルです。「THREE」は一部商品を除いてほとんどがガラスの瓶です。それから、欧米ブランドのボトルはゴージャスでデコラティブですよね。それに対して「THREE」は極めてシンプルです。「THREE」としか書いてない。私に言わせると、これこそが世界に通用する“化粧品の品格”です。

それと、香りです。天然由来の本物の香りはほとんどの方が受け入れてくれました。合成香料は好き嫌いが分かれますが、例えばバラの生花の香りは99%の女性が好きではないでしょうか。それと、テクスチャーです。浸透がよく、それでいてさらっとしている。そういう評価が共通していました。

SVT:アジア展開が先行していますが、欧米マーケットへの進出はお考えでしょうか?

石橋:考えています。やはり欧米のブランドが世界を席巻しているわけですから、そこで日本のブランドとして堂々と勝負したいですよね。ただ、「THREE」が欧米に進出する場合は、現地に合わせて作りを変えないといけないでしょうね。日本で作った良いものなら世界でも売れるというのは、多くの日本企業が持っている幻想で、それでは通用しませんから。

SVT:海外から注目され始めているJ-beautyブームについてはどのようにお感じでしょうか?

石橋:日本人もアジア人もフラットな顔をしています。肌質も似ていて、色が濃いかどうかはありますがアジア人ですからほぼ一緒と言えるでしょう。それから、環境も似ています。日本は温帯モンスーンで、東南アジアは熱帯モンスーンです。お米を食べることも共通の文化です。ですから、求めるものも一緒なのです。日本のブランドは自分たちに当然近いと感じ、だからアジア人にとって買いやすいのです。

一方、白人は立体的な顔をしていますね。ヨーロッパは寒冷で乾燥しています。青い目と黒い目で見え方も違います。青い目は、原色やビビッドの特に赤の色に関しては際立って見えると言われています。だから、ヨーロッパのブランドは赤など原色が多いのです。黒い目をしたアジア人は微妙な色の違いを感じやすい、その違いがあります。日本のブランドがヨーロッパで存在感がなく売れていないのも当然です。求められているものが違うためです。

それから、日本人女性の化粧術が非常に優れていて、そこも注目されているのではないでしょうか。フラットな顔をどうきれいに見せるか、化粧によってどう立体的に見せるか、日本の女性はそうやって自分磨きをしてきました。こうした日本の伝統的な美意識の積み重ねがJ-beautyとして海外から注目されているのだと思います。

  • 高村 学

    株式会社Minimal 代表取締役/SEVENTIE TWO パブリッシング・ディレクター

    「THREE」で実際に使われている植物が数多く植えられている青山の旗艦店は、ショップの他にダイニングとスパが併設され、「THREE」の世界観が見事に表現された空間だ。この空間提案もまた世界に通用する“THREEの品格”と言えよう。

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