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Japan|「東京クリエイティブサロン」に異議あり!

Nov 18, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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またまた不思議な団体が生まれたようだ。その名は「東京クリエイティブサロン」。来年の3月15日から31日まで、日本のクリエイティブを世界に向けて発信する団体だという。その実行委員長はオンワードホールディングスの廣内武名誉会長。同氏によれば「パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界五大ファッション都市としての東京の地位を確立するため」だという。お手本にしたのは「ミラノ・サローネ」だという。ファッションが中心ではあるが、アートやその他のライフスタイル提案をしている様々なイベントを包括していくという。

だが、ちょっと待って欲しい。「ミラノ・サローネ」をお手本にしたインテリアやアート展としては「TOKYO DESIGN WEEK」(主催:特定非営利法人デザインアソシエーション)という総合イベントがあった。建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど生活デザインとアートが集まる総合イベントとして、10万人を動員する人気イベントに成長していた。2014年には「ミラノ・サローネ」でテーマを「TOKYO IMAGINE」として出展して好評だった。

しかし、不幸なことに2016年11月6日にメイン会場の明治神宮外苑で火災が発生し5歳の男児がやけどを負い死亡するという事故が発生。2017年、2018年は開催されなかった。2019年3月18日に、出展者やイベント主催者6人は業務上過失致死傷の疑いで書類送検された。その後8月1日に、東京地方検察庁は出展者2人を重過失致死罪で在宅起訴し、主催者ら4人は不起訴処分になった。

その後、その「TOKYO DESIGN WEEK」を引き継ぐ形で、「DESIGNART TOKYO 2019」が10月18日から27日まで東京都内各所で開催されることになった。

そういうことを踏まえて、今回の「東京クリエイティブサロン」は発足したのだろうか!改めてこういうイベントを、東京都の支援を得てスタートする必要性があったのだろうか。世界的にトレンドというものが不在、いや消えてしまい、加えてファッション・ウィークというものに対する興味がなくなりつつあるのは、「国際派」を任ずる廣内氏ならよく知っているはずだ。それが世界五大ファッションウィークとしての地位確立とか今更やっているのはいかがなものか。もうファッションというものが盛時の熱を失って、「デザイン」というものに興味のある者は、「DESIGNART TOKYO」のような生活デザインとアートに移行しているのは明らかであろう。それが屋上屋を重ねるような「東京クリエイティブサロン」のようなイベントを今更開催するのか。

加えて、選ばれたエリアが、丸の内、日本橋、銀座、渋谷、代官山というのは一体どうしたことなのか。表参道は?原宿は?新宿は?どうしたのか?どうひいき目に見ても、丸の内や日本橋は消費地ではあってもファッションやアートの発信地ではない。丸の内=三菱地所、日本橋=三井不動産、銀座=三越伊勢丹、渋谷=東急、代官山=オンワードホールディングスのヒモ付きというのが露骨すぎるのではないか。もっときちんとした選択があってしかるべきではないのか。ましてや東京都という公けの資金の援助を得てるのであれば、「まずスポンサーありき」という姿勢はいかがなものか。ましてや統括実行委員長が総合プロデューサーを務める「カシヤマ ダイカンヤマ」が代官山のメイン会場ということならば、身びいきという批判を浴びても致し方ないだろう。

いろいろと「東京クリエイティブサロン」に関する不可解な点を挙げてみたが、もちろんこうした不可解さを内包しながらも、華々しい成果をあげられるならば、それは祝着至極である。

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