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Japan|なぜ「フォーエバー21」は日本を撤退したか?そして次の撤退候補は?

Sep 27, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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「フォーエバー21」公式HPより

ロサンゼルスに本拠を置くファストファッションブランド「フォーエバー21(Forever21)」は、10月末で日本における全14店舗と自社ECサイトを閉鎖し、日本から撤退する。今年4月末には、同様にECサイトを含む中国市場からも撤退している。

実は「フォーエバー21」は2000年に三愛と提携して日本上陸し、1年後には撤退しているから、今回は2度目の日本撤退ということになる。よほど日本市場とは相性が悪いのか。

もちろんそうではない。今回の「フォーエバー21」の日本完全撤退の理由としてメルカリなどのフリマアプリの拡大や、サステイナブル志向が進んでファストファッションの存在に対して社会が厳しい目を向けているというようなことが言われているが、もちろんそれは些末なことでしかない。ブランド間の厳しい競争に敗れただけだ。

いわゆるSPA(アパレル製造小売り)ブランドと呼ばれるカテゴリーでは、すでにギャップグループの「オールドネイビー(OLD NAVY)」が2017年1月22日をもって4年間で日本撤退。わずか3年で53店舗まで急拡大したが、あっけない最後だった。その背後には、アメリカ本国におけるギャップ社の業績低迷があった。今回の「フォーエバー21」も、米国本社における業績不振が原因。連邦破産法(チャプター11)の申請準備中とも言われるほどである。儲からない海外戦略を悠長にやっている余裕は無くなっていたのである。

本国不振が日本撤退の原因ということならば、イギリスのアルカディアグループの「トップショップ(TOPSHOP)」の日本撤退も早かった。2015年1月31日に事前予告無しに全5店舗を閉店した。運営していたティーズ(T’s)は森ビル系企業および投資ファンドが出資していた。2006年にラフォーレ原宿で小規模店舗でスタートして以来、9年間の日本展開だった。これも英・アルカディアグループの業績不振が原因で、日本市場で赤字を垂れ流している余裕など無くなったのである。2015年には韓国のSPA企業イーランドが日本で展開していた「スパオ(SPAO)」「ミッソ(MIXXO)」の2ブランドの5店舗を閉鎖している。「円安で採算が取れない」という理由だったが、2013年の日本上陸以来わずか2年の展開だった。一般のブランドと違ってSPAブランドで5店ばかりの出店では、他の100店近い日本展開の「ザラ(ZARA)」や「エイチ&エム(H&M)」の前ではそれこそ全く注目されない存在であるし、利益が生ずるチャンスもない。

SPA企業というのは、扱っているのがトレンド性の強いいわゆるファストファッションでも、「ユニクロ(UNIQLO)」のようなベーシックカジュアルでも、基本にしているのは薄利多売。さらに店舗を増やして売り上げを増大させていくことで、量産効果が出て利益が膨らんでいくという構造。まず店舗の増加がストップすると利益増大もストップしてしまう。売り上げがストップした時に、次の戦略を打ち出して新たな成長戦略が推進できなければ

もうそれが最終形になってしまう。

今SPA企業としてはインディテックス(「ザラ」が基幹ブランド)3.18兆円(2019年1月)、エイチ&エム2.41兆円(2018年11月)、ファーストリテイリング(「ユニクロ」が基幹ブランド)2.13兆円が3強を形成している。従来の3強の第3位だったギャップ(1.96兆円)は停滞期に入り、ファーストリテイリングにその座を明け渡している。ギャップも加えた4強以下は、Lブランズ(「ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria's Secret)」が基幹ブランド)1.40兆円(2018年2月)ということになるが、このLブランズ社も「ヴィクトリアズ・シークレット」が大苦戦中である。

要するに、競合では規模(スケール)の論理と硬直しない経営体制を両立している企業が生き残っていく。そうした目で見ていくと、現在苦戦中の米国の2社第4位のギャップと第5位のLブランズは、SPAの熾烈な競合では今後脱落していくような予感がしてならない。日本での展開がない「ヴィクトリアズ・シークレット」はともかく、「ギャップ(GAP)」「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」を展開中のギャップジャパンの動向が気になるところである。一時はファーストリテイリングが買収を画策していると噂されていたが、海外戦略が軌道に乗ったためにもうそれはないだろう。

この他、日本展開しているアメリカブランドでは、もうアンテナショップ的展開になっている「アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie&Fitch)」はともかく、住金物産、青山商事と米国本社アメリカンイーグルアウトフィッターズ社合弁の日本企業で展開されている「アメリカンイーグル(AMERICAN EAGLE)」が125億円(2019年3月決算)の年商まで漕ぎ着けて、日本で市民権を得ているが、本国本社の年商は5000億円にも満たない規模であり、いつ風向きがおかしくなっても不思議ではない。

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