
Yutoriは8月13日、2026年3月期の第1四半期決算を発表した。売上高は32億3600万円(前年同期比190.5%増)、営業利益は2億9100万円(同639.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8300万円(同669.5%増)となり、いずれも同期間として過去最高を更新した。前期は売上高・全利益項目で過去最高を記録し、創業以来7期連続の増収を達成しているが、その勢いを今期も継続している。
Yutoriは、自社ECを中心にSNSマーケティングとポップアップ販売を組み合わせるD2Cモデルを展開。スタイリスト熊谷隆志のブランド「GDC(ジーディーシー)」をはじめ、ストリートブランド「9090(ナインティナインティ)」やZ世代に人気の「HTH(エイチティーエイチ)」といった多様なブランドを抱える一方、収益性向上を目的にポートフォリオの組み替えも進めている。今期は「ノープガール(Nope Girl)」「スチューデント・アパシー(Student Apathy)」など8ブランドから撤退し、計2600万円の在庫評価損を売上原価に計上。6月末時点の展開ブランドは32に集約した。
今期の成長を牽引しているのは、2024年8月に買収した「ハー リップ トゥ(Her lip to)」を運営する子会社のHeart relationだ。小嶋陽菜がプロデュースする同ブランドは、ドレスやアパレルのほか、香水、ランジェリー、ビューティーグッズなども展開。中国市場をはじめとする海外販売を開始し、売上高は前年同期比30%増の14億4600万円で全体の44.7%を占めた。国内では新宿ルミネで開催したポップアップストアで、1週間で約6000万円を売り上げるなど高い集客力と販売力を示している。
Yutoriの2026年3月期通期業績予想は、売上高110億円(前年比32.4%増)、営業利益8億8000万円(同31.1%増)、当期純利益4億円(同27.1%増)と見込む。計画通り達成すれば、8期連続の増収となる見通しだ。
今後は「ハー リップ トゥ」を中心とした海外展開の加速や積極的なM&A、新規ブランドの立ち上げ、リアル店舗との融合施策を強化。ポップアップや常設店の出店に加え、越境ECの販売チャネル拡大で、グローバルでの認知度向上を狙う。Yutoriの急成長は、ブランドの損切りの速さで見せた片石貴展社長の即決力もあるだろう。グローバルでの急成長も注目されそうだ。