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中華街のシンボル「聘珍樓」が倒産・閉店

Jun 7, 2022.三浦彰Tokyo,JP
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中華料理のメッカである横浜中華街で一番有名な店ということになるとこれは、1884年創業の「聘珍樓(へいちんろう)」ということになるだろう。店名は中国古代の文献である「礼記(らいき)」に記された一節「良き人、素晴らしき人が集まる館」に由来している。その横浜中華街の「聘珍楼」を経営していた株式会社聘珍楼(本社:横浜市中区山下町)が6月2日に横浜地裁から破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は3億円を超えているという。すでに本店以外は別法人(株式会社聘珍楼、本社:横浜市北区新横浜2丁目)が運営しており、今回の横浜本店の破産とは全く無関係で営業を続けている。別法人とはいっても代表者はどちらも林衛氏で同じグループである。すでに、横浜本店以外の全事業(2007年3月期には107億9900万円の売上高を計上)はこの別法人に売却されている。また横浜本店は、5月15日にすでに閉店して移転先を探しており、移転先が決定後の経営は破産した聘珍楼が手掛けるのか、別会社が手掛けるのかは未定だという。わずか3億円程度の負債で中華街のシンボルとも言える店舗を倒産させるものなのか、名前に傷を付けても平気なのだろうかと首を傾げる。もっと上手いやり方があったのではないか。

今回の横浜本店閉店は、2020年2月3日に横浜港に到着したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号で多数のコロナ感染者が確認されたことや中国・武漢が新型コロナウイルスの震源地だと言われたことによる風評被害のダメージが大きかったという。

またすでに「横浜中華街」というレッテルも過去のものになっているという見方もある。横浜中華街発展会協同組合に加盟していた店はコロナ禍前には410店舗を数えたが、2021年3月の時点でうち50店がタピオカブームの終焉も重なり撤退したという。

さらに、ここに来ての聘珍楼の閉店があり、ある意味では横浜中華街はその盛衰の分岐点に立たされているような気がする。横浜中華街はすでに「中華」をテーマにした観光地化しているが、そうしたイメージでやっていけるのだろうか。

それはともかく、ようやくコロナの出口が見え始めた昨今、この「聘珍楼」本店の閉店に代表されるように、悪いニュースが目立ち始めている。コロナ禍による売り上げ不振に加えて仕入れ価格や流通コストの高騰による経営状態の悪化を理由に、満40歳以上の総合職・一般事務職・嘱託社員150人(販売職を除く)の人員削減を5月25日に発表したタキヒヨーが最近の例だ。

夜明け前が一番暗いということであれば良いのだが。

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