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LINEリサーチによるハイブランド&ラグジュアリーブランド意識調査の結果について(前編)

May 7, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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コミュニケーション・ツールとして圧倒的な存在になったLINEだが、さまざまな展開が見られている。最近私が注目しているのは、同社が保有する540万人の国内最大級の調査パネル(アクティブモニター)を基盤にしたスマートフォン専用のリサーチプラットフォーム=アンケート機能「LINEリサーチ」である。

今年4月13日に発表されたのは日本全国の15〜59歳の男女を対象に2021年3月5日〜8日まで行われた「ハイブランド&ラグジュアリーブランドに関する調査」だ。有効回収数は5252サンプルで、性別年代構成を市場に合わせてウェイトバック(本来の性別年代別構成比に合わせて回答を調整)しているが、これによるとなかなか興味深い結果が出ている。今回はその全体回答を見てみた。

まず衝撃的なのは、ハイブランドやラグジュアリーブランドは好きですか?の問いに対する答えだ。「とても好き」と「やや好き」を合わせた「好きな人」は全体の30%、「どちらともいえない」が31%、「あまり好きではない」と「まったく好きではない」を合わせた「好きではない人」は39%だった。ハイブランド&ラグジュアリーブランド関係者にとっては「本当?」と思わず乗り出して見直してしまう結果である。ちなみに嫌いといってもいい「まったく好きではない」は全体の19%という結果である。これを男女別に見てみると
男性全体:「好き」25%、「好きではない」45%
女性全体:「好き」36%、「好きではない」32%
となっていて、男性の「好きではない」がかなり全体の足を引っ張っているようである。「ああいうチャラチャラしたのを私は好きではない」ということなのであろうか。

いわゆるハイブランド&ラグジュアリーブランドの消費量が女性65%、男性35%と巻間言われているが、この調査でもブランド各論では男性にとってのラグジュアリーブランドといえば腕時計の「ロレックス(ROLEX)」や「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」がまず挙がるので、これはまあ肯けるとも言えるが、メンズバッグの強化をここ10年ほど打ち出しているファッション&レザーグッズ部門のラグジュアリーブランドだが、成果は芳しくないのではないだろうか。

この調査結果によると、特に「あまり好きではない」人の割合は、20〜30代男性でやや高めになっているというのが気になるところである。私の個人的な見解ではあるが、リーマン・ショック後の就職氷河期や最近のコロナ不況をモロに被っている現在の20〜30代がハイブランド&ラグジュアリーブランドに対して、「憧れの存在」「モテの必須アイテム」「クリスマス・ラブ」などの幻想をすでに持っていないのではないかと思えてくる。そもそもデートの費用はワリカンとか男が全部支払うのはおかしいという男子が急激に増加していると聞く。日本の労働者の所得は1990年以降ここ30年間横バイが続いているが、その結果20〜30代がハイブランド&ラグジュアリーブランドに目を向けなくなるようなことになってしまうと、このカテゴリーはかなり厳しい状況に陥ってしまうだろう。その購買が40才台、50才台(特に女性)に偏重するようになることが予想されるが、これにはどう対処するのか。

最近「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が中心になって進めているストリート・ラグジュアリーの流れは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」がメンズのクリエイティブ・ディレクターにヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)を指名(2018年3月25日)することで、急速に広がっているのであるが、これがそうした20〜30代台男子のラグジュアリー離れに対して効力を発揮するのかどうか。簡単に言って、日本の20〜30代台男子はそうした高価なものに対して、金を使えないだけになってしまっているのか、それともこうしたラグジュアリーブランドの戦略が功を奏して、気に入ったらカードを使ってでも買うようになっていくのか?このあたりは興味深いところである。

次回は「LINEリサーチ」による好きなブランド各論編を見てみることにする。

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