日本最大のファッションECサイト「ZOZO」の生みの親である前澤友作は、ZOZOの代表取締役を退任後にソフトバンクに売却し、新しく(株)スタートトゥデイを設立。前澤ファンドをスタートさせてさまざまなビジネスを行っている。そのひとつシンママ(ジングルマザー)限定のマッチングアプリ「コアリー」(「子あり」の略のようだ)が1月28日にサービスを開始したが、SNS上で批判が殺到する炎上状態になり、たった1日で配信が停止された。
「コアリー」は、シンママが子どもの年齢、性別、人数など、相手に事前に知ってほしい情報を掲載し、男性が質問に回答すると、AIがシンママの価値観に合った男性を推薦するというマッチングアプリだ。しかし、SNS上では「女性はシングルマザー限定なのに、男性は『シングルマザーとの恋愛を希望する』というのがキモイ」「児童性愛者や児童虐待が集まりそう」などの批判が多く寄せられたという。少し考えれば当然の批判で、事前の熟考が足りなかったのではと思わざるを得ない。
前澤は「シンママの皆様の事前ヒアリングを重ねた上でサービス設計し、懸念に対する予防措置や監視体制を整えて参りましたが、不足の事態を懸念される皆様のご意見や状態を鑑み、より慎重に進めるべきと判断し、配信を停止しました」と自身のTwitterでツイートしている。前澤は、この「コアリー」の他にも「小さな一歩」という離婚後の養育費を間違いなく受け取るためのシステムを2020年6月にサービス開始しているが、進捗具合は不明だが、「これがビジネスとして成り立つくらいなら最初から払っているのではないか」とか「その程度できちんと養育費が払われるようになるなら、要らないビジネスとも言えるのでは」などの批判の声が多い。
離婚した女性を対象にしたビジネスが多いが、面倒なことをせずに「金配りオジサン」として、単純に金を配っていたいいだろう?という極論も出る始末だ。前澤のスタートトゥデイの根本理念は「金を持っている者が簡単にお金を贈れるシステムを作る」というものだが、「前澤にはそんなにまだ金が残っているのか?」という疑問の声が聞こえる。
ZOZOがヤフージャパン(現Zホールディングス)傘下に入る際に、前澤は当時その総株数の約36%を持っていたが、約30%にあたる9200万株をヤフーに売却して2400億円ほどを得ている。これが前澤の現在2000億円ほどある資産のベースである。前澤は現在Zホールディングスの株式9.55%の2975万株ほどを保有している。年間配当は2022年3月期では58円だったから17億円ほどの配当収入があった計算になる。その45%(最高所得税率)の所得税を支払っても手元には9億円程が残ることになる。数々のビジネスで赤字を出しても、金をばらまいても困らないレベルではある。さらに2000億円ある資産を年率5%で運用すればゆうに年間100億円程度の運用益にはなる。
しかし「金配りオジサン」として「お年玉プレゼント」「ふるさと納税10億円寄付企画」「1000人に100万円配って調査を行い、選挙期間中の各政党に提言する」「お金配りは宇宙から」などの活動をしても、どうも私にはあまりピンとこない。
ZOZOを売却した際にZホールディングスとの類似事業禁止条項があるので第2のZOZOは設立できないことになっているのだろうか。もう一度、前澤のビジネス成功神話を見てみたいのは私だけではないだろう。前澤はまだ47歳なのだ。