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本間永一郎・ナナミカ社長にインタビュー 「ナナミカ」がブランド初となる海外1号店をニューヨークに来春出店 

Nov 5, 2019.高村 学Tokyo, JP
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PHOTO:SEVENTIE TWO

「ナナミカ(nanamica)」がブランド初となる海外1号店をニューヨークに出店する。2019年10月に代官山にオープンしたフラッグシップストア「ナナミカ 東京」と同様のコンセプトで、店名は「ナナミカ ニューヨーク」だ。1階ワンフロア、約100平方メートルの店舗構成で、ソーホー地区のウースターストリートに構える。ウースターストリートは、「バブアー(Barbour)」や「ウールリッチ(Woolrich)」、「カナダグース(Canada Goose)」が店を構え、昨年には「グッチ(Gucci)」が本屋「グッチ ウースター ブックストア(Gucci Wooster Bookstore)」を出店し、ニューヨークでも特に注目されているエリアだ。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)やジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)といった米国のトップアーティストを手がけるジェフリー・ダイチ(Jeffrey Deitch)のギャラリーもウースターストリートだ。今回が海外初出店となる「ナナミカ」だが、海外の取引先企業はすでに24ヶ国・150社以上におよぶ。「ブランドを立ち上げた時からグローバルブランドを目指していた」と語る本間永一郎・ナナミカ社長が、東京とニューヨークを忙しく往復する合間にインタビューに応じた。

「ナナミカ ニューヨーク」は、「ナナミカ」ブランドの世界観を表現するためのモノブランドストアだ。「ほんの少し面白みを出すという意味で、『ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE Purple Label)』を出すものの、『ナナミカ』というブランドのすべてを曇りなくお客さまに見せる場所になる」と、コンセプトを説明する。「日本的な価値観や我々のものの考え方を理解いただく前提で作るつもりだ。ただ、それだけでは解釈によっては少し味が薄いと感じられてしまう場合もあるので、きめ細かさやクリーンといった日本的感覚は意識しながら、ニューヨーカーにとって理解しやすいデザインを融合させていく」。

ニューヨーク出店に先がけて、今年5月には100%子会社を米国に設立した。「ナナミカ ニューヨーク」の地階にはショールームも構える。ニューヨークに拠点ができることで、様々な情報が入り、拠点をハブにしたコミュニティもできあがる。Eコマースや卸先への好影響もあるかもしれない。ニューヨークに出店することで様々な恩恵があるだろう。「それは期待している。いよいよ海外に店を出す時期だなと思った3年前はニューヨークの地価がもっとも高い時期だったが、今はピークより下がっている。東京と比べるとまだ高いが、少し背伸びしてでもやってみようと思った」と、海外出店を決意した当時を振り返る。「元々、学生時代は服作りではなく、自分たちが作った物や価値で人が喜んでわっと驚いてくれる仕事がしたいと思っていた。今は服作りが大事だが、『ナナミカ ニューヨーク』がお客様とのタッチポイントになり、現地の人々がいい店だ、いい商品だと、そう喜んでもられるかどうかが、今回の出店で一番ワクワクしていることだ」と、穏やかな表情で今の思いを語る。

ニューヨークに拠点を持つことで、「ナナミカ」はグローバルブランドへとさらに進化していく。「特徴のあるものや我々なりのキャラクターをアウトプットして、それがお客さまにとって価値があると認識され、加えて日本的価値に根差していることが伝わればグローバルブランドとして認められると思う」。その考えはブランドを設立した18年前からなんら変わっていない。「それはブランドだけではなく、人間にとっても同じことだ。言いたいことを相手に伝えられる、相手の言っていることをちゃんと聞けるかどうかということ。どんなに英語がうまくても日本のことを説明できなければ国際人ではない。逆に英語が下手でも日本のよさを伝えられれば国際人だと思う」。時代ごとにレイヤーを重ね成長していく「ナナミカ」の活躍に、大いに期待したい。

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