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「空に隣接する街」に変貌する羽田空港 インバウンド銘柄の筆頭の日本空港ビルデング【いづも巳之助の一株コラム】

NEWDec 5, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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インバウンドが本格稼働する中、日本の「空の未来図」が見えてきた。その中心にいるのが日本空港ビルデングだ。2025年4〜9月期の売上高は1415億円(前年同期比+7.4%)、営業利益214億円(+1.7%)、純利益134億円(+11.8%)、営業利益率15.1%と堅調。

特に施設利用料やテナント賃料を柱とする施設管理運営業が578億円(+13.0%)、営業利益137億円(+28.3%)と大きく伸びた。免税店の反動減を補い、「貸して稼ぐ」構造が完全に定着している。

旅客数で見ても、羽田は年間約8792万人に到達し、全国全体の約45%を占める。つまり国内の空港は表向きは40社体制に見えて、実質は「羽田が主役の1社体制」だ。羽田は国内線と国際線が同じ敷地にある「ひとつ屋根の空港」。出張、観光、トランジットが同じ場所で交差する。これは世界でも珍しい構造だ。他の空港は国内と国際が物理的に分かれ、移動が必要。だが羽田は「乗り継ぎ」ではなく「滞在」でつながる空港に進化している。

巳之助も出張が多いが、羽田ほど「行きも帰りも同じ店に寄れる空港」はない。行きの待ち時間に気になる商品を見つけ、帰りに買って帰る。地方で出会った特産品と羽田で「再会」することも多い。羽田の購買データでは、往路と復路の両方で決済する利用者は全体の約15%前後。1人当たりの平均購買額は約2,400円。行きと帰りで2回買えば単価は実質2倍になる。国内線と国際線、往路と復路が同一動線にあるからこそ生まれる「リピート購買」。巳之助も最近ようやく気づいた構造だ。

現在の羽田空港は、物販売上749億円(+3.4%)、施設管理578億円(+13.0%)、飲食88億円(+8.1%)。なかでも国内線側のテナント売上が前年比+7.2%と伸び、免税店を上回った。出発前60分と到着後30分、この「90分の自由時間」に全館売上の約6割が集中している。空港内の商業床面積は約6.4万平方メートル。丸ビルと新丸ビルを合わせた規模だ。羽田はもはや「空港」ではなく「空に隣接する街」であることが、数字からも明らかだ。

新社長・田中一仁氏のもとで「HANEDA NEXT CITY」構想が動き始める。物を売る空港から、時間をデザインする空港へと展望がみえる。顔認証によるキャッシュレス決済、アプリ予約による商品受け取り、データによる動線可視化。空港は「通過点」から「目的地」になる未来が見えてきた。

株価は4,450円(12月4日)。営業利益率15%、自己資本比率70%台、PBR約1.5倍。数字から見ても健全そのものだ。
空港株は景気敏感に見えるが、実は固定収入(施設管理・賃料)が約半分。長期で持つとディフェンシブに近づく。この「勘違い」がいまの株価妙味だと巳之助は見ている。拾うなら4,400〜4,500円付近。中計発表前の静かな時期が、長期投資では一番効くことが多いんだ。巳之助は「羽田で時間潰し」と「羽田で目的買い」で少し迷うけど。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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