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カラコルム山脈のK2で滑落した平出和也さんと中島健郎さんが所属する石井スポーツが最終報告

Aug 25, 2024.高村 学Tokyo, JP
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2018年にポーランドで開催されたピオレドール賞受賞式での平出和也さん(左)と中島健郎さん

登山用品を販売する石井スポーツは8月22日、パキスタンにあるK2で滑落した所属アスリートの平出和也さんと中島健郎さんについて、最終報告を公表した。石井スポーツは公式ホームページで、現地の同行スタッフと関係者に聞き取りを行い、事故発生から救助活動の終了までの経緯を報告している。

二人はK2の未踏ルート登攀成功を目指す「K2 PROJECT」として、撮影隊やパキスタン軍の連絡係らを含め6人でK2の西壁新ルートでの登頂を開始。K2とは、パキスタンにあるカラコルム山脈にある標高8611メートルの山。ヒマラヤ山脈にある最高峰、エベレストに次ぐ高さで、頭文字の「K」はカラコルム(Karakoram)から取ったもので、数字は測量番号を意味している。

K2は、標高では世界第2位だが、気候条件の厳しさや雪崩や滑落の危険性からエベレストよりも登頂が難しいとされており、「非情の山」とも呼ばれている。今回のプロジェクトには、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「グレゴリー(GREGORY)」「サーモス(THERMOS)」などさまざまなブランドが登攀成功を目指してバックアップしていた。

石井スポーツの最終報告によると、7500メートル(C2)地点で前日に予想外の降雪があったことから出発を遅らせて様子を見ていたが、7月27日に「C2日帰りで上部偵察に向かいます」とメールで連絡を入れた後、平出和也さんと中島健郎さんの二人は偵察に出発。約7550メートル地点を登山中に氷とともに滑落したのを、撮影スタッフが目視で確認し、その8分後に日本の留守本部に衛星携帯電話で報告を入れた。

同日中にパキスタン軍のヘリコプター2機が出動し、別登山隊の隊長が機上から状況を確認し、「2人はメインロープで繋がって、約6300メートルにいる。生死については確認できない」と報告。7月30日に撮影隊と現地スタッフによる話し合いが行われ、救助活動についても検討するも、二人に動きがないこと、現地にヘリコプターが着陸できないこと、二重遭難が発生する可能性があるため地上からも近づけないことから、救助活動が継続できないと判断、家族とも協議し救助を断念した。

平出和也さんと中島健郎さんは、これまでに数多くの功績を残してきた。2023年7月にパキスタンのティリチミール7708メートル未踏の北壁の登頂や、カールンコー北西壁の未踏ルートからの登頂などに成功している。登山界でもっとも名誉とされるピオレドール賞を平出和也さんは日本人最多となる3回、中島健郎さんは2回受賞しており、これまでの活動は国際的にも高く評価されていた。

石井スポーツは、「両名は数々の未踏ルートにチャレンジし、日本のみならず世界の登山界に大きな功績を残しております。その成果は私たちにも大きな影響を与え、多くの人々から敬愛され信頼をされておりました。平出和也と中島健郎が遺した功績は、これからも登山業界の指針となり続けます。ここに両名の活躍を称え、追悼の意を表します」と、最終報告のなかで追悼している。

中島健郎さんのインスタグラムには、これまで登攀に成功した山々の写真だけではなく、まだ幼い息子と遊ぶ写真などが投稿されており、平出和也さんのインスタグラムにも八ヶ岳での親子登山の様子が投稿されており、多くのファンがコメントを寄せている。また、2人の絆の強さを感じされる写真も数多く投稿されている。滑落時、ザイルを結んだままだったという平出和也さんと中島健郎さんの絆は永遠であり、登山界に残した数々の功績を讃えたい。

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