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コロナ禍3年を経てこれからどう動く?2022年重大ニュース(その1)

Dec 9, 2022.三浦彰Tokyo,JP
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2022年も残すところあとわずかになった。この1年にファッション業界で起こった重大なニュースをいくつかまとめて連載で振り返ってみることにした。安倍晋三元総理の暗殺に端を発した統一教会問題及び五輪贈収賄事件が恐らく今年の大事件の筆頭だろう。これらは今後扱うとして第1回では「コロナ禍3年でこれからどうなる?」を考えてみた。

2020年1月から世界を襲った新型コロナも、12月9日の時点で累計感染者は6億5029万人、これによる死者は665万人を数えている。日本の累計感染者は2568万人で、米国、インド、フランス、ドイツ、ブラジル、韓国に次いで世界第7位。死者は5万1075万人で致死率は0.2%。依然として日本全国で多い時は1日10万人の感染者を記録しているから、数的には第8次感染拡大に入ってることは間違いないのだが、感染に関する予防措置は徐々に緩和され、特に来日外国人に対する制限は急激になくなりつつある。さらにこうしたことに対する懸念の声も徐々に弱まっている。いわゆる感染症としての分類が第2類であることに変わりはないが、ほぼ第5類相当への移行が進められていると考えてよい状況だ。8月24日に政府が公表した全数把握の見直しはこうした移行の決定打になった。感染者や濃厚接触者の隔離措置についても厳格さは緩和され続けている。簡単に言って新型コロナウイルスは感染力の強力なインフルエンザという位置付けになりつつあるのだ。これに拍車をかけることになったのが、ゼロコロナ政策を強力に推し進めてきた中国政府が抗議の過熱化に屈して12月に入りゼロコロナ政策見直しが始まったことだ。恐らく2023年中には日本でマスク着用義務がなくなるだろう。コロナ禍は3年を経て、ついに新局面を迎えたと言える。

ファッション業界は、2020年には営業休止・短縮要請が相次ぐなど最悪の状態だったが、2021年後半から回復基調に入り、2022年にはコロナ禍前の2019年の水準まで回復する企業もかなり出て来ている。2022年後半からはインバウンド需要の回復が始まっており、特に百貨店では、都心店ではあるが軒並みその恩恵を享受する店舗が続出している。

一方コロナ渦中に巣ごもり需要の恩恵を受けたインテリア関連の企業には、ハシゴを外されて業績が悪化するような企業も見られる。また米国の話だが1万人にも及ぶリストラを最近発表したアマゾンは、コロナ禍で需要急増が続くと想定した経営方針が裏目になったし、イーロン・マスクに買収されたツイッター社やメタ(旧フェイスブック)も巣ごもりでそれぞれの媒体の拡大が進み広告が急増することを想定して経営計画を立てていたが、それがコロナ禍収束で誤算となり大規模なリストラ(ツイッター3000人、メタ1万1000人)をせざるを得ない事態を招いている。一方コロナ禍を契機に人気に火が点いたランニングやゴルフ、キャンピングなどのアウトドアスポーツは、コロナ禍が終わってもその人気を継続している。

大局的には、2023年はコロナ禍が収束してマスクのない日々が日本にも戻ってくるのではないだろうか。ただし、だからといってファッション業界に春が訪れるだろうというほど単純ではないようだ。ロシアのウクライナ進攻に端を発したインフレが重くのしかかっている。

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