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アルベール・エルバスのリシュモン入りと「シャネル」後任デザイナーの話

Nov 10, 2019.橋本雅彦Tokyo, JP
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PARIS, FRANCE - JANUARY 25: Albert Elbaz and Lucas Ossendrijver on the catwalk during the Lanvin Menswear Fall/Winter 2015-2016 show as part of Paris Fashion Week on January 25, 2015 in Paris, France. (Photo by Rindoff/Dufour/Getty Images for Lanvin)

アルベール・エルバス(1961年生まれ、Alber Elbaz)というデザイナーは、誰もが認める実力派でありながらポストに恵まれない印象がある。「ジェフリー・ビーン(Geoffrey Beene)」、「ギ・ラロッシュ(Guy Laroche)」、「イヴ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)、「クリツィア(Krizia、「ポイ・バイ・クリツィア」のデザイナーを任される)」などでキャリアを重ね、2001年に「ランバン(Lanvin)」のクリエイティブ・ディレクターに抜擢され、2015年10月に退任が発表されるまでその職にあった。その14年間は、称賛が送られた栄光の年月であったが、やはりLVMHやケリングといったビッグコングロマリット傘下のブランドではなかったために、華々しい成功の日というわけではなかった。そして、ある意味で台湾のオーナーとの確執の中で職を去っていた。

それから4年間はさまざまなブランドとのコラボを重ねたりしていたが、逆にLVMH、ケリングと並ぶラグジュアリーブランドのコングロマリットであるリシュモングループ入りをすることになった。エルバスとリシュモンの合弁で作られた新会社名は「AZファッション」。アルベールのAとエルバスの最後のアルファベットのZを結合させた社名だ。ウィメンズウェアを作るらしいが、ブランド名、発表の時期、販売方法などはこれから決められるようだ。エルバスに良い環境が与えられればよいが。LVMHやケリングに比較して、リシュモンのファッション部門は現在、「クロエ(Chloé)」や「メゾン アライア(Maison Alaia)」がある程度で手薄であった。

ファッション業界のデザイナー人事をめぐる最大の焦点は今年2月19日に亡くなったのカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手掛けていた「シャネル(Chanel)」の後任だ。カールの後任として2月19日にアーティスティック・ディレクターに任命されたのはカールとともに30年以上仕事をして来たヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard、57歳)だ。しかし、ヴィアールはワンポイント起用ではないかという見方は依然として強い。なんといっても知名度がない。そこで、シャネル社としてはヴィアールの後任として、ビッグデザイナーをキープしておきたいという意向があるのではという見方だ。その際に、最有力と考えられていたのが、このエルバス。しかし、今回のリシュモングループ入りでその目はなくなったかもしれない。エルバスと並んで従来から有力と見られていたのがジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)だ。このゴルチエも現在は、スペイン企業のプーチ(Puig)のヒモ付きになっているので「シャネル」のアーティスティック・ディレクターになる可能性は微妙である。

ということで、ヴィアールの後任として、現在ヒモ付きでない大物デザイナーということになれば、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)ということになるのだが。もちろんヴィアール女史が着々と好業績を積み重ねるということになれば、後任云々などという話は机上の空論になるわけではあるが。

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