
ファッション通販サイト「バイマ(BUYMA)」を運営するエニグモの株価が続伸している。9月12日に発表した2026年1月期の通期連結業績予想の修正をきっかけに、投資家の買いが集まった。
今回の修正では、売上高を前回予想の67億1900万円から65億500万円へ下方修正した一方、営業利益も5億3600万円から3000万円へと大幅に引き下げた。しかし最終利益にあたる親会社株主に帰属する当期純利益は、従来予想の3億2200万円から3億8700万円へと上方修正された。これは、保有していた投資有価証券の売却益として約6億円を特別利益に計上したためだ。
さらに株主還元の姿勢を示すかたちで、未定としていた期末一括配当を30円と発表した。前期の10円から大幅な増額となり、配当利回りの上昇も株価上昇を後押ししたとみられる。株式市場の反応は素早かった。9月11日の終値は300円だったが、翌12日には80円高の380円と一気に26.7%上昇。その後の三連休明けとなる16日も買いが続き、株価は上昇基調を維持している。
エニグモは、世界中のアイテムを日本にいながら購入できる点を強みに、バイヤーと呼ばれる個人出品者を通じて海外ブランド商品を取り扱うC to C型のファッション通販プラットフォームを展開している。しかし、近年は為替変動や消費者の購買行動の変化、競合との競争激化などの逆風を受け、成長スピードが鈍化している。今回の業績予想修正も営業利益の大幅減額が示すように、事業環境の厳しさを反映している。それでも最終利益の上方修正と配当増額は、市場に対して「財務体質の安定性」と「株主還元強化」の姿勢をアピールする効果があった。