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脱・アパレル中心のライフスタイル企業目指すクロスプラス【後編】

May 28, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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クロスプラスの山本大寛社長(撮影:高瀬博)

最近のクロスプラスのヒット商品と言えば、コロナ禍のマスク市場を席巻したパステルマスクがあげられる。累計販売枚数は実に1億枚を突破した。このあたりに、山本社長率いる新生クロスプラスの一端が垣間見られると思うのだが。

「パステルマスクは、当初は担当する専門のセクションがなくて、既存衣料部が担当しました。他の部署も協力しながら、広告したり、Eコマースに広げたり、海外の工場で優先的に生産ラインをつくったり、自社の物流センターで優先的に納品を急いでもらったりして、自分たちでサプライチェーンを作るようなこともしました」。

パステルマスクの人気に火が点いたのはどんなところからだったのか?

「まずイオンで飛ぶように売れました。次いでドラッグストアで売るときにはパッケージの需要性が身に染みて分かりました。またブランドがないという弱みをカバーするために、かなりのヴァリエーションを販売して、よく売れたものをスピード感を持って追加していくやり方を徹底。これが成功の要因かもしれません。ドラッグストアで服は売れないとアパレル業界では言われていますが、どうもそんなことはありません。パッケージを始めとして販売努力が足りないのではないでしょうか。北海道のドラッグストアでは、カイロの横に11月頃スウェットを置いたらよく売れました」。

今年からライフスタイル事業部ができているが?
「非衣料品を企画・生産しています。この事業部に限らず、全社員がマーケットにアンテナを張って、自分のライフスタイルに欠けているものを提案してもらうという動きが定着しつつあります。それを企画会議で提案してもらって、行けそうなものは即生産して販売します。役員承認という形はとらずに現場に権限を与えています。売れなければ止めればいいだけです」。

その際のキーワードはありますか?

「『ウェルビーイング』です。今までのファッションは出掛ける時に着るものでつまりお出掛け着でした。ある意味で非日常のものでしたが、これだと今の時代では限界がある。『ウェルビーイング』という観点でシーンを変えていくことが大切で、そうしていくことで生活が豊かになります」。

そうした中で、非アパレル分野の商品開発に力を入れていますが、具体的にはどんな商品が登場していますか?

「ひとつの切り口として、『健康長寿』というカテゴリーがあります。『ユニクロ』のエアリズムとかヒートテックは暑さや寒さに対応したベーシックな商品ですが、さらに深化したコンセプトで、着れば健康になるような肌着などを提案する商品などがあります。また任天堂の『スイッチ』というゲームを寝ながらする時にフィットするクッションが欲しいという社員の要望から開発した『寝落ちピロー』という商品なんかもありますよ(笑)」。

最近の展示会では帽子もかなりのスペースで展開されていましたが?

「中初という帽子のメーカーをM&A(2018年9月)しました。非アパレルの商品開発の一環です。この他にも規模は小さいですが話題になっているのは、趣味的商品というかエンターテイメント商品といいますか、『推し活グッズ』が挙げられます。自分が推しているタレントのアクリルスタンドを収納できるスマホケースや応援うちわなどを企画・生産しています。4月28日付でアーティスト・タレントのファンクラブの運営などを行うアクセルエンターメディアが実施した第三者割当増資引受による出資を行いました」。

目標とする企業のような存在があるか?と山本社長に尋ねると、アイリスオーヤマの名前が上がった。この辺りが山本社長の面目躍如といったところだ。痒いところに手が届く商品を開発しているボーダーレスな企業である。「ファッションでは提案できる商品の幅が限られるから非ファッション商品の拡大を目指している」というシナリオは説得力があるが、従来型のアパレル経営者からはなかなか生まれにくい。そうしたクロスプラスの行き方は新しいライフスタイルの対応型の企業の誕生を予感させる。山本社長の今後の手腕に期待したい。

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