ファーストリテイリングが2022年から中途採用の年収を最大10億円に引き上げる。日本経済新聞による会長兼社長の柳井正氏への取材で明らかになった。ファストリの本部に所属し、デジタル化やEC、サプライチェーンに精通した人材を募集するという。ファストリの21年8月末の従業員数は約5万6000人。本部の社員は約1600人おり、大半が中途採用だ。
柳井正氏は「コンサルタントや大企業出身者ではなく、 新たな価値を生んだり、事業を白紙から考えたりできる人を求める」とし、採用数に上限は設けず、「自分より優秀で天才的な人が対象だ。いい人材がいれば100〜200人でも採用したい」と語る。さらに「将来の競合は『ZARA』よりGAFA (グーグル・アップル・フェ イスブック・アマゾン)になる」と同誌のインタビューで強調し、世界中から中途の優秀なIT人材を採用することで、衣料品業界で競争が激しくなっているIT大手に対抗する狙いだ。
10億円という額は日本企業の中途採用の平均年収の200倍超にあたり、国内では最高水準とみられる。ファーストリテイリングの2017年の年収テーブルによると、執行役員(38歳以上)だと最低5985万円〜最高2億4312万円(平均9096万円)、45歳以上でさえも最低1億4636万円〜最高1億5008万円(平均1億4769万円)となっている。さらに柳井正会長兼社長の年収4億円さえも優に上回る。そんな中で最大10億円を出すというのはなかなか思い切った行動といえるだろう。