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これが年収1億円(?)でスカウトされた「ユニクロ」木下執行役員の最初のお仕事

Aug 31, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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 昨年5月1日付でマガジンハウスの『ポパイ(POPEYE)』編集長だった木下孝浩氏(1968年生まれで50歳か51歳)が「ユニクロ(UNIQLO)」を手掛けるファーストリテイリングに執行役員として入社した。現在の肩書きはグローバルクリエイティブラボ東京クリエイティブディレクターだが、その最初の仕事は8月23日に創刊されたバイリンガル雑誌『LifeWear magazine』だった。「ユニクロ」の店舗で無料配布されるが、発行回数は年2回になるのか、年4回になるのかは不明だ。

 まず表紙と目次は、デンマーク・コペンハーゲン在住のアーティストのエイドリアン・ジョンソン(Adrienne Johnson)氏が自作をアップデートしたもの。120ページの内容は①ロサンゼルスでの暮らしと服、②柳宗理工業デザインをユニクロ NY R&Dセンタークリエイティブディレクターのレベッカ・ベイ(Rebekka Bay)が訪問、③25周年を迎えるフリースの話、④東京での2019秋冬「ユニクロ」コレクション撮影、⑤クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)と大橋歩、⑥ロジャー・フェデラー(Roger Federer)への30の質問、⑦ミラノでデザイン界の巨匠ミケーレ・デ・ルッキ(Michele de Lucchi)に会う、⑧平野歩夢のスノボウェアから生まれた服、⑨「ユニクロ」とJW・アンダーソン(JW Anderson)のコラボ、⑩「ユニクロ」ショップがオープンするホーチミン シティガイド、⑪「ユニクロ」がいよいよ進出するインドで新しいクルタを考える、⑫キース・ヘリング(Keith Haring)とUT、⑬「ユニクロ」とコラボしているリサ・ラーソン(Lisa Larson)のアトリエを訪ねて、⑭「ユニクロ」によるWeekendスタイル、⑮私の「ユニクロ」

 当たり前のことだが全て「ユニクロ」に関する情報である。総ページ120ページであるがもう息が詰まるくらい。木下氏が編集長ではあるが、創業者の柳井正会長兼社長と木下氏がそれこそ50回ほど話し合って、内容をまとめ上げているのが目に見えるようである。実質的な編集長は柳井氏であろう。確かめたわけではないが、柳井氏自身が「ポパイ」の古くからの愛読者で、木下氏が編集する『ポパイ』が気に入っていたので、スカウトに至ったと聞いている。

 ファーストリテイリングの2017年の年収テーブルによれば、執行役員(38歳以上)は、最低5985万円〜最高2億4312万円(平均9096万円)、これが45歳以上だと最低1億4636万円〜最高1億5008万円(平均1億4769万円)となっている。木下氏がどの程度の年収なのかは知らないが、2017年基準なら執行役員と肩書きがつく限り、1億円であっても不思議ではないわけだ。しかし、ワンブランド販促本を作るストレスというのも当然あるだろうし、1億円もらっても、それはそれで十分なような気もする。ゲスな言い方だと、1億円の宝くクジが当たるとしてそれが編集の仕事なら、なんでもするというのが世の編集長のホンネか。

 ある雑誌編集者にこの話をしたら、「私は絶対に“NO”。1億円積まれても嫌です。好き勝手に、自分が好きなブランドや洋服や人にフォーカスしたいです」と即座に返答。まあ、この編集長の雑誌も70%はタイアップみたいなものですが、やはり意地を見せたいということなのだろう。他にも編集長たちにこの話をしてみると、「そりゃ行きます。声が掛からないだけですよ(笑)」というのが大半の返答であった。こういう情けない人ばっかりだからやはり雑誌不況というのは当然という気もしてくるのである。

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