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ルックホールディングスはいかにして生き残りに成功したか?

Mar 1, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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2月には12月本決算企業の決算発表があったが、大手アパレル企業では、三陽商会の厳しい赤字決算とは対照的な好決算を発表したルックホールディングスが注目された。売上高440億1500万円(+2.3%)、営業利益16億5700万円(+13.6%)、経常利益18億2100万円(+4.3%)、当期純利益21億6600万円(+41.0%)の増収増益で、2018年12月期の配当は昨年12月期の6円から30円へ大幅な増加になった。

440億円の売上高で16億円の営業利益だから、営業利益率は3.7%に過ぎないので、営業利益率が20〜30%のラグジュアリー・ブランド企業と比較したら、とても高収益企業などということはできないのだが、他の大手アパレル企業に比べたら、この営業利益率3.7%という数字は、特筆すべき数字で業態転換期が着々と進んでいると言えよう。

このルックホールディングスの業態は、今や「マリメッコ(Marimekko)」「イルビソンテ(IL BISONTE)」「アー・ペー・セー(A.P.C.)」「デンハム(DENHAM)」などのインポートブランドが主力になったインポート販売企業になっている。直営店主力になって、すでに百貨店チャンネルの売り上げ比率は50%を切っている。中高年女性、中高年男性を対象に百貨店で委託販売や消化仕入れ商売がメインの他のアパレル企業とはすでに業態が全く異なっている。

同社は「マークジェイコブス(Marc Jacobs)」のセカンドラインのライセンス生産や「トリーバーチ(TORY BURCH)」で大きな売り上げを上げていた企業だが、どちらも日本法人設立でその売り上げが消失してしまい辛酸をなめた経験がある。ここ2年ばかりは「トリーバーチ」の穴埋めを進めながら、業態転換を進めてきたのだが、そういう意味では、この成果には拍手を送りたいものである。何かふっきれた感があるのである。もう中高年相手の百貨店商売をやっていては死んでしまうということが分かって来たのである。

加えて、同社の場合は子会社アイディールックによる韓国ビジネスが159億6900万円の規模で8億700万円の営業利益を上げ、同社の業績を下支えしている。ここも海外戦略が全くものになっていない他の大半アパレル企業と決定的に違う点である。アパレル企業というより全くユニークなファッション企業に変身したと言えるのではないだろうか。

同社は現在の中目黒本社ビルを20億円で売却し、青山に本社を移転する。かつてレナウンルックと称していた時代の名残もある中目黒を去り、さらにユニークなファッション企業としての発展を目指すが、ワンブランドSPAでない企業の今の時代のひとつの生き残りの成功例と言えるのかもしれない。

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