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インバウンド依存リスクが顕在化 三越伊勢丹HDの第1四半期は旗艦3店舗が前年割れ 

NEWAug 12, 2025.高村 学Tokyo, JP
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三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹HD)は8月8日、2026年3月期の第1四半期決算を発表した。売上高は1241億9300万円で前年同期比4.2%減、営業利益は156億5000万円で同17.1%減と減収減益となった。一方で、台湾の「新光三越」の株式の一部売却益が寄与し、最終利益は188億3800万円と同37.5%増加した。

三越伊勢丹HDは今年5月、台湾で展開する「新光三越」の株式の一部を、合弁パートナーが設立した特別目的会社の新昕資本股份有限公司に譲渡。この売却益106億円を特別利益として計上したことが、最終利益の押し上げ要因となった。

主力の百貨店事業は、売上高1022億8500万円(前年同期比5.0%減)、営業利益124億5500万円(同20.7%減)と苦戦。2024年4月に中国・天津市の「天津伊勢丹」と「天津濱海新区伊勢丹」を閉鎖し、6月には「上海梅龍鎮伊勢丹」も営業を終了。海外店舗の撤退が売上減に直結したほか、国内の旗艦店である伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の売上高も前年割れし、特に訪日外国人客による購買減少が響いた。インバウンド依存リスクが顕在化した形だ。

背景には、中国経済の減速や円安効果の一巡などにより、高額品やラグジュアリーブランドを中心に海外富裕層需要が鈍化。外商部門や富裕層向け催事の強化、化粧品・高級時計などの重点販売は続けているものの、前年水準の維持は難しかった。

通期業績予想は据え置き、売上高5570億円(前年比0.3%増)、営業利益780億円(同2.2%増)、純利益600億円(同13.6%増)を見込む。海外事業の再編や国内改装効果、オンライン販売の伸長で、年度後半の回復を目指す構えだ。

ただし、市場環境は依然として不透明だ。百貨店業界は国内人口減少と消費多様化、インバウンド依存リスクという三重苦に直面しており、三越伊勢丹HDも例外ではない。今後は富裕層以外の国内顧客層へのアプローチや、体験型サービスの充実など新たな収益源の確立が課題となる。

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