電通元専務で東京オリ・パラ組織委員会の高橋治之元理事(78歳)が紳士服チェーンAOKIホールディングスからの受託収賄容疑で逮捕され、AOKI側も青木拡憲元会長(83歳)など3人が贈賄で逮捕されている。勾留期限が切れる9月上旬には、高橋容疑者に関する新たな受託収賄に関する2つの捜査が進行中なのが明らかになった。
ひとつは、東京オリ・パラのスポンサー企業だったKADOKAWA。スポンサー選定をめぐり、KADOKAWAから高橋治之元理事の知人の会社でもある「コモンズ2」に7000万円の送金があった。この知人は広告業界最大手電通のOBで同社専務だった高橋容疑者の後輩にあたる人物。KADOKAWAの角川歴彦会長(79歳)は、「賄賂を渡した認識は全くありません。スポーツに関するコンサルタント料で、高橋治之容疑者に資金が流れてはいないと思う。社員を信じる」と記者会見で話した。
もうひとつは、(電通、博報堂、ADKに次ぐ)広告業界第4位の大広への家宅捜査だ。これは2018年にスポンサー企業に決定した(株)ECC(本社大阪市北区)と大広に関する一件とみられている。ECCは協賛金として大会組織委員会に7億円を支払っている。関係者によると、大広はもともとECCと繋がりが深く、協力代理店としてECCの東京オリ・パラ関連のCF・印刷物などの制作を担当する許可を得るために高橋元理事に「口キキ」を依頼したようだ。その際に高橋元理事の知人が代表を務めるコンサルティング会社に約1400万円を送金した疑いが持たれている。
KADOKAWAも大広も、高橋元理事へ直接送金するのは、「みなし公務員」への送金で贈賄になるという認識があったため高橋元理事の知人のコンサルティング会社に送金するという手段を講じたようだ。
AOKIホールディングス、KADOKAWA、ECC&大広という3つのルートが捜査対象になっているが、今後もイモヅル式に贈賄企業がアブリ出される大疑獄事件に発展する可能性が出てきた。