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ついに10年前倒しで年間出生者80万人割れか。浮かび上がって来た新勢力とは?

Apr 23, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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インドのムンバイ

本当に悪いニュースばかり続いて嫌になるし、それをこうして「報道」するのも気が滅入るが、現実を直視していただくためにはそれも仕方ない。最近愕然としたのは、4月21日に厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値だ。今年2月の出生数は前年より10.3%少ない5万9789人だった。単月の出生者としては、2004年1月以降で最少だった。14.6%減だった1月に続き大幅な減少幅になった。昨年は5月の9.7%減が最大だったが、今年は2カ月連続の2ケタマイナスだ。通年の減少幅をみても、昨年は2月まで前年比2.9%だったのに対して今年は12.6%減の推移になる。原因は言うまでもなくコロナ感染拡大で、とても子作りどころではないということだろう。

トレンドやファッションがどうこう言う前に、なんと言っても消費を左右する最大要因は人口動態であるから、これはちょっと笑えない。昨年の出生者は87万2683人で過去最低だったが、このままいくと80万人を切る事態になるのではないだろうか。出生者予測で日本の出生者が80万人を切るのは2035年と見られていただけに、それを最低でも10年前倒しすることになる。これはちょっと衝撃的な「事件」である。すでに複数の民間調査研究機関では2021年出生者80万人割れの試算を公表している。日本の出生数のピーク第1次ベビーブーム(1947~49年)の1949年の約270万人に比べるとそのあまりの落差にいつもながら驚く。第一生命経済研究所の星野卓也氏によれば「コロナ感染拡大を契機に普及したリモートワーク、オンライン授業などはコロナ収束後も残ると考えられるが、これらは人同士が直接交流する機会を減らす側面がある。交流機会の減少が婚姻減少や出生減を招く形で出生数への影響が長期にわたるリスクがある」と警告している。

同感だ。リモートワークやオンライン授業が悪影響をもたらさないわけがない。暗澹たる気持ちである。

YouTubeで日本総合研究所の寺島実郎会長が登場する「世界を知る力」という番組を見ていたら、IMFによる「世界経済の見通し/実質GDP成長率」の表が映し出されていた。今年1月発表の数字が4月に修正されているのだが、特に注目は、中国とインドだろう。コロナ感染の一早い収束国になった中国は、2020年成長率が2.3%、2021年成長率8.4%という高い水準の年間成長率予想。それ以上の驚きは2021年成長率-8.0%のインドの2021年成長率が12.5%!!何かの間違いではないのかと思う。一人っ子政策のツケで2029年人口ピークで人口減少傾向がちらつき始めている中国に比べて、インドでは人口増加が続き早ければ2022年、遅くとも2027年には世界一が予想される。このコロナウイルスを吹き飛ばすような復元力の凄まじさも人口増加を背景にしたものである。米国対中国の対決がクローズアップされる最近だが、どうも10年後を見据えるとこのインドが間違いなく、この2強に加わって来ることが確実な情勢のようだ。

それはともかく今回のコロナ禍は人口急減の日本の衰退をさらに早めることになりそうである。

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