BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

Japan|「オリエンタル トラフィック」を手がけるダブルエー 上場してすぐの業績下方修正は上場サギ?

Dec 19, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
VIEW27
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
「オリエンタル トラフィック」の2019年AWイメージより

若い女子を中心に人気の靴ブランド「オリエンタル トラフィック(Oriental Traffic)」を製造・販売するダブルエーは、靴のSPA企業として注目されている。このダブルエーが今年11月1日に東証マザーズに上場した。公募価格は4,690円でかなり高めの設定。株式市場が活況なので、これぐらいは大丈夫だろうという甘い目論見だったのだろうが、案の定11月1日上場初日の初値は4,680円と公募価格割れ。その日は4,720円の高値があったものの、それ以降はダラダラと下げて4,100〜4,400円の相場が続いた。そして12月13日には、1月本決算の業績の下方修正を発表。従来の売上高予想146億3100万円→140億700万円、営業利益18億1300万円→13億5600万円、経常利益18億2900万円→13億9400万円、最終利益12億2100万円→9億3200万円へそれぞれ下方修正。その12月13日の終値は4,260円だったが翌週月曜日から株価は急落して、3,000円台キープがやっとという感じで売られまくった。4,690円の公募株を買ってしまった人からは、「最初から業績の下方修正は予定されていたのではないか」という声が出てもおかしくはない。全くもって「サギ」まがいの許せない行為だろう。しかも現在は配当ゼロである。

そもそも4,690円という公募価格そのものが、2019年1月期の1株当たり純利益の24.3倍。東証上場の平均17倍の約1.5倍という株価である。17倍なら3,210円で急落後の現在の株価である。

ダブルエーの肖俊偉社長(上場前の所有株式比率82.64%)は、中国で高校を卒業してから来日し、日本の靴メーカーに5年勤めてから前身の直通企画有限会社を2002年2月に設立した。その後3月には下北沢に「オリエンタル トラフィック」1号店(路面店)をオープンしている。5,000〜8,000円ほどの婦人靴が若い女子を中心に人気で最近はスニーカーにも進出して、さらに支持を集めている。主力ブランドの「オリエンタル トラフィック」の他に現在は「WA オリエンタル トラフィック」「ニカル(NICAL)」「オーアール キッズ(OR KIDS)」「ワカル(WA!KARU)」のブランドがあり、香港、中国でも展開しており、商品回転率と粗利の高さが高収益の要因になっている。

サイズ展開は11と幅広く、ヒール先端部分のトップリフトの無料修理、500円のクーポン券と引き換えの下取りサービスなどが好調の要因に上げられている。とりたてて目立った商品ではないが、地味目な女子の圧倒的支持を背景にして成長を続けている。「婦人靴のユニクロ」という声があるのも頷ける。

しかし、今回の公募価格の異様な高さや上場して50日も経っていない時期の業績下方修正は全くいただけない。猛省を促すと同時に、株価的には絶好の買い場という気もしてくるのである。

READ MORE