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第1位の赤字企業パレモHDの株が上がった理由は?ファッション&アパレル&83銘柄騰落率ランキング

Apr 4, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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パレモ・ホールディングスHPより

SEVENTIE TWOでは、毎月ファッション&アパレル関連83企業の株価の騰落率ランキングを発表している。今回は2022年3月(対象期間:3月1日から3月31日)のランキングだ。

この間、オミクロン株による新型コロナの感染は一段落したという判断だが、緊迫するウクライナ情勢、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ決定、原油を始めとした世界的な超インフレといった要素から株価は激しく上下動した。日経平均株価について言えば、3月1日の始値は2万6836円74銭で、3月31日終値は2万7821円43銭でその上昇は、+3.6%だった。特に圧巻だったのは3月14日から3月22日までの+145.07→+38.63→+415.53→+890.88→+174.54→+396.68→+816.05→+70.23→+39.45の9日間連続の上昇だ。これは、FRBの利上げ決定が予想の範囲内だったことによる「安心買い」だろう。

ちなみに日経平均株価が連動しているニューヨークダウ平均株価の3月の始値は3万3813ドル48セントで、3月31日の終値は3万4678ドル35セントでその上昇率は+2.5%だった。今後も、コロナ、ウクライナ、利上げ、インフレという4要素をパラメーターにしてしばらくは上下動を繰り返して行きそうだ。SEVENTIE TWOが選んだ83銘柄については、値上がり株が33銘柄、変わらずが1銘柄、値下がりが49銘柄で、その単純平均は1.1%の下落だった。高止まりしているコロナウイルス新規感染者の影響は、春物の最盛期の3月商戦にはあまり悪影響はなかったが、業界の将来性への物足りなさが原因か。

83銘柄中の上昇率第1位(+35.4%)はイオンやユニーのショッピングセンターへの出店の多い婦人服と雑貨の専門店チェーンのパレモ・ホールディングスだ。2022年2月期決算が3月29日に発表されたが、その日の終値は130円だったが、翌日はストップ高(50円高)の180円をマークするなど前日の20倍の出来高(1617万株)を記録して引けた。なお、その後株価は落ち着いて4月4日の終値は141円だ。

さてそのパレモHDの2月期決算は:
・売上高:179億700万(前年比−1.9%)
・営業利益:−7億900万(前年−13億2500万円)
・経常利益:−6億7400万円(前年−13億2100万円)
・親会社株主に帰属する当期純利益:−13億9300万円(前年−18億8000万円)

減収で赤字幅が減少しているとはいえ赤字決算でそれほど評価できる価値があるのか?という疑問が湧くと思うが、パレモHD株を論じる上では重要ポイントがいくつかある。

①昨年8月6日に子供服SPAの西松屋チェーンがパレモHDの株式の17.6%(議決権付き)を約3億1300万円で従来の筆頭株主であった投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド・パートナーズ・スリーから取得したのだ。様々な憶測を呼んでパレモHDの株式は一気に268円(8月3日終値)まで買われた。しかし、その後はその半値以下の112円(8月3日終値)まで下落していた。

②今回の決算発表では、かなり抜本的な中期経営計画(3年)が発表されている。それは、従来アパレル事業に依存して来たビジネスモデルから脱却して、ここ数年で急成長を遂げている300円均一雑貨ショップ「イルシーサンマルサンマル(illusie300)」をさらに成長拡大させ収益の2本柱体制を確立したいという内容。「アパレルは儲からない!」ということが身に染みている企業はそれなりに活路を模索するものである。「イルシーサンマルサンマル」はパルグループホールディングスが大ヒットさせている「スリーコインズ」業態を参考にしたものだろう。

さてパレモHDの今期の業績予想は:
・売上高:177億円(前年比−1.2%)
・営業利益:3億5000万円
・営業利益:3億2500万円
・親会社株主に帰属する当期純利益:3億3000万円
という控え目なものだが、中期3カ年経営計画では、2025年2月期に売上高177億円、営業利益9億円を目指している。これはかなりのインパクトを投資家に与えたようだ。

また同社の最大株主である西松屋チェーンは、2022年2月決算で122億5900万円の営業利益、84億9800万円の当期利益(いずれも非連結)を計上しているが、昨年8月6日に3億1300万円で17.67%を取得したのだから、株価が150円程度なら10億円もあれば過半数株式を取得してパレモHDを買収できることになるわけで、西松屋の婦人服分野への橋頭堡になる可能性まである。こうした期待も投資家にはある。

上昇率2位(+28.7%)は、ヤングカジュアルゾーンのウェア・雑貨企業ANAPだった。滅多に黒字を計上しない年商70億円ほどの企業だが、ちょっとした発表で株価が簡単に上下動するため「投機家」には人気のある銘柄だ。加えて最近は流行のメタバース関連のニュースが相次いで発表されて、これが人気に火を点けているようだ。3月に入ってからのメタバース関連の同社発表は、①Suishowと業務提携し共同でメタバース領域における開発力強化で事業創出を加速(3月9日)、②ファッションアイテムをメタバース空間で利用可能な形にデジタル変換するサービス提供開始(3月17日)、③1000万点以上あるファッションアイテム画像・採寸データをオープンソースデータとして公開し、メタバースファッション・ウェアラブルアイテムの流通拡大を支援(3月30日)などあった。

上昇率第3位(+17.2%)のスノーピークについては、このファッション&アパレル騰落率ランキングの上昇率上位の常連であり、また2021年通年での上昇率ナンバーワンの銘柄だ。2月14日に2021年2月期の予想通りの驚異的決算を発表した後も、引き続き買いが入っている状況だ。

※「SEVENTIE TWO」ファッション&アパレル関連83銘柄
スノーピーク、ハニーズホールディングス、ライトオン、バロックジャパンリミテッド、ミズノ、ニトリホールディングス、TOKYO BASE、ゴールドウイン、キムラタン、ゼビオホールディングス、グンゼ、アツギ、TSIホールディングス、パルグループホールディングス、エニグモ、近鉄百貨店、タビオ、イオン、山喜、タキヒヨー、フェスタリアホールディングスナイガイ、ドウシシャ、コナカ、カッシーナ・イクスシー、ヤマト インターナショナルヤギ、しまむら、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、シャルレ、ワコールホールディングス、ZOZO、堀田丸正、パレモ・ホールディングス、ダイドーリミテッド、ナルミヤ・インターナショナル、夢展望、川辺、チヨダ、AOKIホールディングス、井筒屋、サマンサタバサジャパンリミテッド、千趣会、ワークマン、メルカリ、デサント、松屋、マツオカコーポレーション、4℃ホールディングス、良品計画、三越伊勢丹ホールディングス、MRKホールディングス、クロスプラス、サックスバー ホールディングス、ABCマート、はるやまホールディングス、ムーンバット、高島屋、J.フロント リテイリング、タカキュー、アダストリア、ダブルエー、セブン&アイ・ホールディングス、コックス、エイチ・ツー・オー リテイリング、丸井グループ、ワールド、三陽商会、ルックホールディングス、青山商事、ラピーヌ、オンワードホールディングス、ANAP、コメ兵ホールディングス、キング、西松屋チェーン、ファーストリテイリング、ユナイテッドアローズ、アシックス、ジンズ、ロコンド、BASE、東京ソワール

 

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