
「ヨネックス(YONEX)」ブランドを展開するヨネックスが絶好調だ。8月8日に発表した2026年3月期の第1四半期決算は、売上高は398億5600万円(前年同期比28.3%増)、営業利益は62億7700万円(同89.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は42億3700万円(同51.5%増)と大幅な増収増益で、前期に続いて再び過去最高水準を塗り替える勢いを見せている。
同社の舵を取るのは、2022年4月に就任した、創業家出身で5代目社長のアリサ・ヨネヤマ氏。就任から4期目を迎えた今期も業績は右肩上がりだ。前期は売上高・利益ともに過去最高を記録していたが、第1四半期時点でその勢いをさらに上回るペースとなった。
地域別では、日本の売上高は155億3900万円(前年同期比18.3%増)、営業利益は18億7500万円(同210.4%増)と利益が3倍以上に跳ね上がった。バドミントン用品の堅調な販売に加え、テニスシューズの売れ行きも好調だった。
最大の成長ドライバーはアジア市場だ。中国や台湾など日本以外のアジアでは、売上高が204億2100万円(同39.1%増)、営業利益は35億100万円(同49.0%増)と高い伸びを示した。バドミントンの国際大会での露出増や、現地選手の活躍がブランド価値向上につながっているとみられる。
北米は売上高21億8500万円(同34.3%増)、営業利益2億8900万円(同28.3%増)と順調に拡大した。一方、欧州は売上高15億100万円(同6.8%増)と伸びたものの、営業利益は8600万円(同36.3%減)と減益。広告宣伝費や人件費の増加が利益を圧迫した。
通期業績予想は据え置きで、売上高1480億円(前期比7.0%増)、営業利益148億円(同4.4%増)、純利益108億円(同2.0%増)を見込む。達成すれば5期連続で過去最高益の更新となる見通しだ。
ヨネックスは、グローバルで高まるラケット需要に対応するため、新潟県長岡市の本社工場と研究開発施設に隣接してテニスラケットの新工場を建設中。2025年12月からの稼働を目指し、供給体制を強化する。
創業から来年で80年を超える老舗メーカーでありながら、若きトップのもとで第二の成長期を迎えているヨネックス。アジアを中心としたグローバル展開の加速と、生産能力の拡大が、次の飛躍へのカギとなりそうだ。