BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

Japan|「アディダス」が取り上げたサステナブル方式と3Cコンセプト

Jun 20, 2019.Tokyo, JP
VIEW41
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
アディダス ジャパン株式会社のCSR担当部長、アンジェラ・オルティス(Angela Ortiz

ドイツに本社を置くスポーツメーカー「アディダス(adidas)」は、消費者に向けて持続可能性や社会的責任に対する意識を喚起する取り組みを積極的に行っている。中でも海洋プラスチック問題には深く取り組んでおり、海洋環境保護団体「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ(Parley for the Oceans、以下パーレイ)」とパートナーシップを組み、より高いイニシアチブをとっている。企業としては、サステナビリティレポートの公開にも寛容であり、ファッション業界におけるサプライチェーン全体の透明性をランク付けした「ザ・ファッション・トランスペアレンシー・インデックス 2019(The Fashion Transparency Index 2019)」では、500もの主要ファッションブランドの中で最高スコアを獲得した。「『アディダス』は、他の多くのグローバル企業と同じように、ローカルとローカルをつなぐための戦略を構築したいと考えています」と、CSR担当部長であるアンジェラ・オルティス(Angela Ortiz)は語る。

日本で育ったオルティス氏は三菱グループや中小企業などと協力し、「NGO(非政府組織)」や、被災者やコミュニティの復興、再建に貢献する非営利法人「Place To Grow」と企業の橋渡しをするためのCSR方針を策定してきた。

「相手の気持ちや感情を理解するコミュニティを構築することが、みんなで1つの目標を達成するための唯一の方法だと思っています。そのためには、分野や経歴が異なる人が集まった際にそれぞれのバックグラウンドを細かく理解する必要があります」とオルティス氏は語る。

「アディダス」は、2016年に「パーレイ」と協力して作り上げた海洋プラスチック廃棄物を含むスニーカーを100万足以上生産。2019年にはその数を1,100万足に拡大し、さらに2024年までに全ての製品に100%リサイクルされたポリエステルを使用することを約束している。「アディダス」はプラスチック廃棄問題の解決を目的の一つとして掲げており、原材料を何度でも再利用できる循環型生産システムを構築するために、100%リサイクル可能な素材で作られたランニングシューズ「フューチャークラフト・ループ(FUTURECRAFT.LOOP)」のファーストモデルを4月17日に発表した。 これは、靴の寿命を迎えた時に「アディダス」に返品し、溶かして新たな構成要素に戻して、再び新しい靴を作れるようにするというプロセスだ。 まだテスト段階だが、世界主要都市から200人の影響力のある「クリエーター(クリエイティビティを発揮する人々をアディダスではこう呼んでおり、アスリートやブランドアンバサダーなどが参加した)」が参加し、データを収集している。シューズは走った後、「アディダス」に返却され、ランナーからフィードバックしたものをデータ化し、2021年春夏には販売する予定である。

オルティス氏は、「1990年代後半から2000年代初頭にかけて、循環型生産の概念がベースになり始めましたが、商品の製造過程で発生する有害な化学物質を段階的に排除することが可能になってきています。現在、日本の企業は重要なプレーヤーとしてグローバル的に意識を高めているので、アウトプットとリーダーシップが加速しつつあることを私は嬉しく思っています」と述べた。

「アディダス」は、「collaboration, confidence, and creativity(「協働、自信、創造」の意)の「3Cコンセプト」という社内のスタッフの成長を促進する方式を取り入れている。優れた商品を作るのではなく、リーダーが従業員のモチベーションを上げることで結果として優れた商品を生み、それが会社の成功に繋がると考えている。 だからこそサステナビリティに対していい結果が出せているのだ。アジアでは、サステナビリティいう概念はまだ欧米ほどには広まっていないが、オルティス氏は興味深いことに言及していた。「日本は驚くべきことに、国が閉鎖された江戸時代にすでにサステナビリティに対する概念が出来上がっており、物を繰り返し使うなど質素な生活をしていたことは世界的に知られています。持続可能でリサイクルに参加するという前向きな未知の側面は、私たちがそれを知っているよりもずっと以前に存在していました。昔の人は循環経済に非常に類似したシステムを持っており、私たちはそれらの点と点を結びつけて利用し最先端のリーダーを作り上げます」。

「アディダス」はスポーツ用品業界の世界的リーダーであり、コアブランドの「アディダス」と「リーボック(Reebok)」を擁している。 ドイツのヘルツォーゲンアウラハに本社を置き、2018年には世界中で約5万7000人の従業員を持ち、売上高は少なくとも220億ユーロ(約2兆円*)である。 循環経済において、プラスチックの使用、労働の搾取、化学物質の使用を一気に解消するための解決策は今は存在していないが、私たちがこれからの未来を救う道へ少しずつ進んでいるということが大切なのである。

*1ユーロ=121.3円換算(6月20日時点)

READ MORE