気のせいか、最近は「メタバース(仮想空間)」関連のニュースが減少して、俄然スポットライトを浴びているのが「チャットGPT」だ。Google登場以来のビッグバンだと言われている。開発はマイクロソフトが投資しているサンフランシスコの新興企業オープンAI社だ。チャット形式で質問をすると瞬時に「回答」が提示されるサービスで、パソコンやスマートフォンから手軽に利用できる。
ある出版社は同社が主催する「小説新人賞」の応募の3分の1がチャットGPTによる疑いが強いためにこの新人賞の募集を中止したという。また「悲しみ、宇宙、人間の3つのキーワードを使ったイメージを静止画像にせよ」というチャットに答えてチャットGPTが示した静止画像はある漫画家の主人公による画像に酷似するなど著作権の侵害が問題になっている。
その高性能や回答能力の高さから、今後多くの人間の仕事が奪われると推測されている。さらなるチャットGPT開発競争も激化の一途を辿り、「インターネット開発戦争」の再来と言われるほどだ。しかし、イーロン・マスクを含むIT業界の経営者が、「社会や人類に対する深刻なリスクになる」、「チャットGPTを止めろ!」「制御不可能だ」と叫んでいるのが注目されている。
このままチャットGPTの開発が進めば特に雇用に与える影響が深刻だという。BBCによると欧米で提供されている仕事の4分の1に当たる3億人の仕事がなくなるとしている。ジャーナリスト、弁護士、会計士、マーケットリサーチャーなどの専門職、教員などがリストの上位に挙げられているという。
今後、どんな展開になっていくのかきわめて興味深い。チャットGPTが人間の知性を超えて、人間を支配するようなSF小説のような未来が本当にやってくるのか。
ある著名なデザイナーとチャットGPTについて最近話をした。「ファッションデザイナーは、チャットGPTに取って代わられるなんてことがあるんでしょうか?」と尋ねてみたら「そもそもファッションデザイナーなんて今現在存在しているんですかね?」という答えが返ってきた(笑)。