MIXIは12月26日、連結子会社であるチャリ・ロトの当時の代表取締役と営業本部長が、取引先との間で不正な資金のやり取りを行なっていた件について、調査報告書を公表した。MIXIは10月下旬に外部からの情報提供により内部不正を認識し、10月30日に調査チームを組織。12月25日まで調査を行なってきた。調査チームは関係者へのインタビュー、デジタルフォレンジック(デジタルデバイスに記録された情報の回収と分析調査)、全役職員へのアンケート(関与した従業員1名、休職中の職員2名を除く)を行い不正の概要を明らかにした。
前代表取締役は、チャリ・ロト社と取引関係のある9社に支払った金銭の一部を、自身や妻、関連会社に支払わせるやり方で合計3億5784万2499円を不正に受領。前代表取締役の妻には約3000万円が不正に渡っていた。営業本部長は同じ方法で、取引先から自身が代表を務める会社にて支払いを受けることで合計6億6816万4025円を不正に受領していた。なお、これらの不正な資金のやり取りに関して、その他のチャリ・ロト社の社員が関与した事実はないとしている。
MIXIは調査報告書の中で、内部不正の原因として、コンプライアンス意識の欠如や小規模な取引先と多額報酬の伴う取引があったことを挙げている。さらに特定の取引先対応のブラックボックス化、取引に関するガバナンスが不十分であったこと、内部監査体制が機能していなかったこと、子会社管理に問題があったことの6つを挙げた。
MIXIはこうした事態を受けて、24社ある連結子会社でも検証の必要があると判断している。しかし、すべての調査を行うことが現実的に不可能であることから、同様の不正が発生する可能性がない、もしくは低い5社を除く19社を対象に調査を実施するとしている。また、再発防止策として意識改革、取引先との関係の透明化、取引先に対するガバナンス強化、内部監査体制の再構築、子会社ガバナンスの見直しに注力するとしている。今回の不正行為に関わったチャリ・ロトの前代表取締役は、10月30日付で取締役を解任。また関与した営業本部長も12月26日付で懲戒解雇処分とされた。
チャリ・ロト社は2019年にミクシィ(現在のMIXI)が買収し、完全子会社化している。同社は競輪やオートレースなど公営競技の車券の販売サービスなどを手掛けてきた。
MIXIは12月16日、新たなSNSとして「ミクシー2(mixi2)」をリリースしたばかりだ。招待制の閉じたコミュニティを特徴とし、情報過多になりがちな他のSNSツールとは異なる路線で話題になっていた。MIXIにとっては新SNSのリリースで勢いに乗りたいタイミングでの内部不正問題となった。