2019年8月1日、楽天が東京ファッション・ウィーク(以下、JFW)の冠スポンサーを務めることを発表した。ネットショッピングの国内最大手の楽天が冠スポンサーに就任とあって、国内メディアが一切に報道し、日本経済新聞(8月2日)は「アマゾンから冠スポンサーを奪取した」と報じている。そもそもアマゾンはたった6回の開催でJFWから降りてしまったわけで、それを奪取と言っていいのかどうかはさておき、今回の発表に対して海外メディアの反応は非常に薄い。
ウェブメディアの「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion、以下BOF)」は、「Eコマースの巨大企業である楽天が、なぜハイリスクな賭けをするのか?」と報じている。国内流通総額が3兆円を越える楽天であっても、ファッションのEコマースで市場を制覇することは容易ではないと見ているようだ。ただ、今回の発表を報じている海外メディアは「BOF」くらいで、米版「WWD(Women's Wear Daily)」は、プリント版とウェブ版ともに一切報じていない(8月2日現在)。かねてからニューヨークやパリのファッション・ウィークと比べて、海外への情報発信力の弱さが指摘されてきたが、改めてその弱さが露呈してしまった。中国メディアに関しても同様で、記事を目にすることはなく、JFWはほぼ関心を持たれていないと言っていいだろう。JFWを開催する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)は「日本が誇るファッション・クリエーションを世界にむけて発信する」とその役割を述べているが、掛け声倒れで終わらないことを期待したい。