イタリアのファッションブランド「ヴェルサーチ(Versace)」は、中国の特別行政区である香港とマカオをそれぞれ独立した国と解釈されかねない表現をしたTシャツを販売したことで批判が殺到し、謝罪に追い込まれた。「ヴェルサーチ」は、「ウェイボー(Weibo、微博)」の公式アカウントで、このTシャツの販売を取りやめ在庫も処分したと発表した。香港では「逃亡犯条例」の改正案を巡るデモが発生から2ヶ月以上経過するも収まる気配がなく、市民と警官隊の衝突にまで発展し混迷を極めている。
この問題が発生すると、「ヴェルサーチ」のクリエイティブ・ディレクターであるドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)も自身のインスタグラムで即座に謝罪、「私たちの会社が犯した不運なミスと、それが原因でSNS上で引き起こっている議論に関して申し訳なく思います。中国の国家主権を軽視するつもりはなく、このような不正確さがもたらした苦痛に対して個人的にお詫びします」とコメントした。この謝罪文にはすでに4,000件以上のコメントが投稿されており(8月12日時点)、「中国に謝罪する必要はない」といった声が多く見受けられる。
しかし、「ヴェルサーチ」の中国初となるアンバサダーに今年6月に就任した有名女優ヤン・ミー(楊冪)は、この問題を受けて「ヴェルサーチ」とのアンバサダー契約を即座に打ち切った。ヤン・ミーは、1億人以上のウェイボーのフォロワーを持ち、中国国内で大きな影響力があるため、この問題は今後もさらに拡散される可能性がある。
香港の問題に関しては、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」のデザイナーである高橋盾が自身のインスタグラムに「逃亡犯条例」の改正案を巡るデモを支持する投稿をしたことで中国人から大きな反発が起き、「ナイキ(NIKE)」とのコラボ商品の販売が中止に追い込まれる事態が起きたばかりだ。