寒川裕人(Eugene Kangawa)によるアーティストスタジオ、「ユージーン・スタジオ(EUGENE STUDIO)」による個展が東京、天王洲の「マキギャラリー(MAKI Gallery)」で6月2日から8月5日の間、開催される。入場料金は無料。同時に通常は一般非公開のアトリエ「ユージーン・スタジオ アトリエ スリー(EUGENE STUDIO Atelier iii) 」が限定予約制で公開される。期間は個展のものと同じだが、事前予約制で1グループ5,000円。
昨年、東京都現代美術館にて過去最年少で個展を開催するなど、国内外で活躍する寒川裕人。昨年の個展「ユージーン・スタジオ 新しい海」は長蛇の列とともに開幕を迎え、大成功を収めた。天王洲でも最大級の面積を誇る「マキギャラリー」で開催される今回の個展は、全三章のうちの第一章。これらの一連のプロジェクトは複数年に渡ってユージーン・スタジオ/寒川裕人の作品や思想を断片的に探求することを目的としている。様々なコレクターの協力のもと、収蔵されたコレクション作品を含めた五つの作品シリーズが展示される予定だ。
金色の粒子が振り続ける「Goldrain」、彫刻作品である「想像 #1 man」、特徴的な筆致で描かれた作品を含むシリーズ「Rainbow Painting」など多くの代表的なシリーズを観ることができる。特に「Goldrain」は一作品の展示に最大1時間の待ち時間となったこともあり、再展示されることに注目が集まっている。また本展の開催に際して新たに三つの図録「EUGENE i, ii, iii」が刊行される。それぞれ、寒川の代表シリーズの一部が収録されており、豊富な図版のほか、寒川の過去のインタビューや講義の抜粋も掲載されるため新たなアーカイブとなるだろう。各冊個別販売のほか、三冊入りエディション版となる特装版が発売予定。今までの図録や出版物はすべて在庫完売となっているなかの発売ということもあり、注目が高まっている。
本展の開催と同時に公開される「ユージーン・スタジオ アトリエ スリー」は700平方メートルを誇る巨大なアトリエで、豊かな緑や里山に囲まれた自然光溢れるアトリエだ。設計や家具など、アトリエの大部分がスタジオによるDIYで作られたもので、過去に展示で使用されたタイルや木材が一部再利用されている。天窓から自然光が差し込む室内には、ペインティングやインスタレーション、テスト・ピースが展示されており、特殊な空間と体験を存分に味わうことができる。作家不在時に行われる今回の特別公開では、作家の日々の息遣いや日常を少人数でかつ長時間をかけて鑑賞、体験できる特別な機会になっている。
寒川裕人は1989年、アメリカ生まれ。「89+」展(2014年、ロンドン)における作品提供や個展「THE EUGENE Studio 1/2 Century later」(2017年、資生堂ギャラリー)の開催、「de-sport」展(2020年、金沢21世紀美術館)への参加など多くの作品で国内外からの人気を誇る。過去には人工知能やモビリティ、農業、バイオテクノロジー領域の研究開発への参加、招聘といった活動も。また2021年にアメリカで発表された二つの短編映画がブルックリン国際映画祭、ヒューストン国際映画祭など10以上の国際映画祭で高い評価を得ており、様々な分野で才能を発揮している。