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「郊外から海外」へ動き始めた「しまむら」 「ユニクロ」が値上げ圧力でも「価格据え置き」で快走中【いづも巳之助の一株コラム】 

NEWOct 2, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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撮影:セブツー

しまむらが9月29日に発表した2026年2月期第2四半期(3〜8月期)は、
・売上高3,435億円(前年同期比+3.9%)
・営業利益314億円(+0.2%)
・純利益229億円(+3.6%)
と増収増益。

純利益は5年連続の最高益を記録した。営業利益率は9.2%とやや低下したが、販管費の増加を吸収しきった点が評価できる。自己資本比率は88.5%と鉄壁。業界全体が人件費高騰や異常気象に苦しむ中で、安定感は際立つな。

今期の主役はPBだ。吸水速乾「FIBER DRY」、接触冷感の夏物、さらに高価格帯「クロッシープレミアム」まで幅広くヒット。加えて共同開発「SEASON REASON」なども支持を得た。PB比率は25%を超え、サイズは5Lまで展開(サイズはホントに助かっている人が多い!)「ユニクロ」が値上げを余儀なくされるなか、しまむらは「値段据え置きで付加価値を高める」形で実質単価を引き上げた。7月の「超サプライズセール」では初日に106万人を動員し、SNSとの連動も奏功。まさにPBと販促が功を奏したね。

台湾の「思夢樂」事業は売上45.8億円(+8.8%)。都市型店舗改装やインフルエンサー企画が成功し、客単価は5年前比1.5倍に。まだ全体売上の1%強にすぎないが、明確な成長軌道に乗っている。かつて中国市場から撤退したしまむらにとって、台湾は「海外再挑戦の成功例」と言える。

次なる一手はタイだ。バンコクの大型ショッピングモールにポップアップを構え、現地ECも同時開設する。選定理由は明確で、国内免税売上や越境ECでの反応を分析した結果、タイに有望な顧客層が存在すると判断したためだ。日系小売の進出も多く、日本ブランドへの親和性が高い土壌がある。

忘れてはいけないのがECだ。中間期のEC売上は88億円で前年同期比+43.5%。中でも子ども用品が好調だった。OMO比率は驚異の85%に達し、オンラインで予約して店舗で受け取る流れが定着しつつある。店舗受取時の「ついで買い」が購買単価を押し上げる仕組みで、しまむら流のオムニチャネルが完成形に近づいている。

10月からはグループ統合EC「しまむらパーク」が始動。国内基盤に加えて「海外+OMO」という二軸の成長シナリオが鮮明になった。

現状の海外比率は1.3%程度。短期的には台湾拡張とタイ出店で2〜3%。中期的には東南アジア展開で5〜10%を視野に入れる。「ユニクロ」の海外比率50%超とは雲泥の差だが、しまむらは「国内基盤を守りつつ、アジアに第二の柱を築く」戦略。海外での成否が次の10年を左右するんだ。

とうとう株価は年初来+24%の1万円台。ファーストリテイリングが▲16%、西松屋が▲7%と軟調な中で、しまむらは市場に「安定成長銘柄」と評価されている。QUICKコンセンサス(純利益236億円)をやや下回ったものの、資本政策や株主還元強化への期待が株価を支える。年間配当は205円、優待も実質還元率を押し上げている。

しまむらは「郊外ドミナント+PB+OMO」で国内を制し、いよいよアジアへと舵を切った。台湾での成功を踏み台に、タイ市場が第二の成長波になるかどうか。海外売上比率を5〜10%に引き上げられるかが、中期的な評価軸になるだろう。

巳之助は「国内PBの強さ」と「海外挑戦のリスク」で少し迷うけど。

▶︎巳之助メーター 3ニョロ 今こそ!
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
海外シェアがまだ1%台なら、伸びしろは大きい。国内の安定感を基盤にして、買える人はどんどんいこう(いや高いが.....)。

■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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