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しまむらグループのネグレクト(育児放棄)を想起させる「パパは全然面倒みてくれない」はユーモアか虐待行為か?

Jul 31, 2024.高村 学Tokyo, JP
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撮影:セブツー

しまむらグループは7月30日、ベビー・子ども用品の専門店「バースデイ(birthday)」が加賀美健氏とコラボレーションしたアイテムの販売を中止すると発表した。29日から販売を開始していたが、すでにオンラインストアからは全アイテムを削除している。

しまむらグループは、プルオーバーやソックスにプリントされた「パパはいつも寝てる」や「パパは全然面倒みてくれない」といった表現に対して、「不快な思いをさせてしまう表現があった」ことを理由に急遽、販売を取りやめた。加賀美健氏による一連のこうした表現をプリントしたアイテムに対して、発売当初から父親への偏見や子どもへの虐待につながる懸念があることが指摘されていた。

一方で、加賀美健氏はユーモアのあるメッセージを作品に落とし込むのがスタイルであり、今回も問題になった表現以外は、「うちの子最高」「うちの子一番」「うちの子かわいい」といったような、いわゆる「親バカ」を狙ったようなユーモラスなメッセージがプリントされている。

しかし、加賀美健氏の持ち味であるそのユーモアが、一部の商品では社会常識から逸脱した表現になってしまい、販売中止という大問題に発展してしまった。まず、「パパはいつも寝てる」といった表現は、父親への偏見を助長し、男性への性差別につながる懸念がある。そもそも「パパはいつも寝てる」といった表現自体が古臭い先入観でしかない。

「パパは全然面倒みてくれない」という表現は、ネグレクト(育児放棄)を想起させてしまう。さらに、両親の一方を非難、侮辱するような言動を子どもに吹き込む行為は「心理的虐待」とされており、こういった商品を本人の意思に関係なく子どもに着用させること自体が虐待行為と言われても仕方ない。

加賀美健氏の表現がユーモアなのか、あるいは性差別や虐待を助長するものなのか、判断するのはしまむらグループだ。商品として採用するか見送るかの判断も当然、しまむらグループである。しまむらグループが非難されるのは当然であり、販売中止に異論の余地はない。

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