2月4日から20日にかけて中国・北京で開催された2022年冬季オリンピックでは、昨年の東京オリンピックでも話題となった平野歩夢選手がスノーボード競技で金メダルを獲得し、日本中を沸かせた。しかし、日本スノースポーツ&リゾーツ協議会の調査によると、日本国内でのスキー・スノーボード人口は1998年の1800万人をピークを迎えて以降、下降傾向にあり2017年には620万人まで減少している。
一方、冬季五輪を控えていた中国では「ウィンタービジネス関連の人口を3億人に増やす」という目標を政府が掲げ、スキーやスケートが学校教育の過程に含まれるようになった。その甲斐あってか、中国の前瞻産業研究院の調べによると、中国国内でのウィンタースポーツの市場規模が2025年には1兆元(約18兆1820億7800万円*)に達する見込みがなされている。
日本国内でも、2020年12月には「デサント(DESCENTE)」が「ディオール(Dior)」と共同開発したスキーウェアを発売し、人気を博した。「ディオール」は、2021年12月にもスキーコレクション第2弾を記念してポップアップを開催しており、ラグジュアリーファッションとウィンタースポーツとの繋がりに注目が集まっている。
また、ウィンタースポーツ用品を主力事業とする「サロモン(SALOMON)」が2020年12月に、長野県にある野沢温泉スキー場と協業でコロナ禍におけるウィンターリゾートの新たな様式として「サロモンステーション」をリニューアル。オンラインチェックインサービスをいち早く導入するなど、スキー場の利用客が三密の心配をしなくてもいいよう、より快適なウィンタースポーツの環境整備に取り組んだ。
移動費やギアなど、お金がかかるスポーツとして学生からは敬遠されてきたスキーやスノーボードも、ここ最近はにわかに人気で、カーシェアなどを利用して数名でスキー場に向かうケースが増えている。群馬県のスキー場に行ったという大学生は「日常から解放されて冬の大自然を楽しめる」「道具は全てレンタルできるため、身一つで気軽に楽しめるスポーツ」とウィンタースポーツの魅力を語っている。
雪山やウィンタースポーツ関連の事業に参入する「サロモン」などの各アウトドア系ドメスティックブランドに加えて、パフォーマンスだけでなく普段のファッションにも定評のある平野選手の活躍がもたらす、ファッションに傾倒する若者のスノボ意欲の高まりも期待できそうだ。中国に続く日本国内でのウィンタースポーツブームも遠くない。
*1中国人民元=1円換算(2月23日時点)